YMOでおなじみの高橋幸宏さん。
完全に僕の主観が混じっておりますが、彼は間違いなく日本で一番上手いドラム奏者だと僕は思っております。
テンポ感、リズム感、グルーヴ感、タイム感、ピッチ、音程、どれをとってもピカイチなのですが今日は彼のフィルインについて紹介したいと思います。
アカペラのボイスパーカショニストの方は是非一度幸宏さんの演奏から学んでみてください。
断言します!世界が変わります!
「フィルインでタムを使わない!」
そうなんですよ!彼、原則フィルインでタムを使わないのです。ほとんど。本当に凄いんです。よくドラムを練習する際に「真っ先にバスとスネアとハイハットだけで遊べるようになれ!」とか言われますが彼の演奏は非常に模倣的です。
まあこのblogではおなじみのこの動画見てください。
さて、彼のフィルイン擬きを何パターンか紹介しましょう。
「とぅくとぅとぅくとぅ」
スネアの連打ですね!アカペラだと今流行のsing-offが出元?の「すくとぅすくとぅ」と歌う唱方がありますが、『スネアなら「とぅく」』のほうがドラムとしてのエッセンスが引き立ちます。
※スクだとハイハットのニュアンスとなります。
「すくとぅくとぅくちー」
これは「すく」ですね!ハイハットをダブルストロークで2発打ってからスネアに入ります。敢えてスネアを裏から入れる事で緊張感を持たせております。
「どつとぅとぅるどつとぅちー」
musescoreではロールが表記出来ないためこうなってしまいましたが「とぅる」の部分はスネアロールです。aikoさんの曲なんかでもこういうフィルたまにみます。ロールを有効に使う事でフィルインに多様性を持たせていますね!
「すとぅくとぅくとぅく」
これも裏拍からスネアを入れて緊張感を持たせております。さらにスネアの6連打で疾走感も産んでおります。ちなみにアカペラでは「すんとぅくとぅくとぅく」と歌う歌唱法をとる方がいますがタムとは異なるタイミングでハイハットの語尾を「ん」で終わらせてしまうとハイハットの金属っぽさが出ないため、私はお勧めしておりません。
「つーつーつーつーつーつーとぅくとぅく」
これ実際は小節内でハイハット群にクレッシェンドかけております。ハイハットで盛り上げまくってスネアに移行といったところでしょうか。ボイスパーカッションにて「どつーどつー」と打ちながら2拍目でハイハットの音量あげてない奏者もいますが僕は表現の幅を持たせるためにも、盛り上げどころではステイしない方が良いのではないかと考えています。
「とぅくとぅとぅくとぅとぅくとぅくとぅくとぅく」
スネアのみのフィルインです。ここまでスネア1本でやってきて初めてスネアのみのフィルインが来ました。幸宏さんが如何にハイハットを効果的に使っているかわかります。ちなみに全部16分音符で演奏してしまうとくどい上に、どこが盛り上げどころか、どこを押したいのかわからなくなってしまいますよね。「止める!止める!たかたかたかたか」と打っています。ブレイクからの復帰なので敢えて一度二度止めて注目を集めてからスネアで転換しています。
たぶんこのフィルだけ表からスネアガンガンなのもブレイクからの復帰だからでしょう。
たぶんこのフィルだけ他のフィルに比べて1小節と長いのもブレイクからの復帰だからでしょう。
ちなみに同じメロの中に入れたいなら先ほどのロールのやつ(展開しない装飾のフィルイン)がベストです。
「つとぅとぅ/んとぅとぅ」
「とぅん」ではなく「んとぅとぅ」なのでスラッシュ入れさせていただきました。これも裏からいれて緊張感を持たせるパターンのフィルインです。
裏で16分を入れる事で疾走感や独特のハネも産まれております。幸宏さん毎回フィルインで16分入れてますよね?この曲の疾走感の立役者の1人は間違いなくこの16分音符でのスネアです。
「つとぅくとぅくとぅ」
これも裏から入っております(っていうか緊張感をもたせたい際に表から入るのはマヌケです)。
敵に奇襲をかけるのに白昼堂々声を荒げながら正門から殴り込んで行くようなものです。笑
さてさて。
ところどころニヒルに辛口で解説してきましたが僕も出来るかと言われたら全く出来ておりません!それでもフィルインってこうやって気をつけて聴いてみると本当に面白いです。
それでですね。
最後に一言言わせてください。
昨今のアカペラ界はPentatonixによって空前絶後のテクノブームじゃないですか?
昨今の日本の音楽事情も打ち込みを使った音楽やロックが増えて来てるじゃないですか?
実はこのRydeenはテクノなんです!
その証拠に幸宏さんはバスを4つ打ち(が派生した形)で打っております。テクノだろうが、ロックだろうが、打ち込み音楽だろうがなんだろうが、まずはバスとハイハットとスネアです。タムを使いたくなる気持ちもわかりますが、スネアのみのフィルインも使い分けられないうちからタムなんて無理ですよ。
シンプルかつ効果的に。幸宏さんのドラムの心地よさはフィルに隠されていたのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もしこの記事を気に入って頂けたようであればシェアをお願い致します。非常に励みになります。
8 comments to this article
匿名
on 2016/05/13 at 00:47 -
ごめん、ベドラは四つ打ちじゃないね。
ハマちゃん
on 2017/02/25 at 08:25 -
はじめまして
YMOで高橋幸宏さんのファンだったおじさんです
当時ドラムの知識は全く無かった※自分はギターを少し)
でも高橋幸宏さんのドラムが『カックエエー!!』と感動しました
久しぶりにググって辿り着きました(笑)
ところで
奇襲をかけるが『奇襲を書ける』になっているのでお知らせがてらにコメントさせて頂きました
余談ですが
幸宏さん以外で好きなドラマーはスチュアートコープランド、ボンゾ、リンゴ、イアンペイス、パットトーピー(笑)外人ばかりや
では失礼いたしますm(_ _)m
mokabuu
on 2017/03/06 at 02:43 -
ご指摘ありがとうございます!
早速修正を入れさせていただきました。
リンゴは僕も大好きです!
幸宏さん自身が外国人ドラマーに影響をうけているのもあって、
僕も幸宏さん以外の好きなドラマー外人ばっかりです。笑
卒業できませんでした
on 2017/03/26 at 12:29 -
Recent Commentsに上がってたので久々に見にきました笑。
彼が最近組んでるMeta FiveっていうユニットのDon’t Moveって曲が後半幸宏さん無双で最高ですよ。ソロほとんどスネアだけで作ってるし、テイさん(DJ)の打ち込みと共存するし。
激強です。
mokabuu
on 2017/03/27 at 04:48 -
聴きました。無双してますね。笑
そしてこの歳でまだ成長しているのにびっくりです。
またプレイスタイルが少し変わっているような気もします。笑
ソロで昇天しました。
青リンゴ・スター
on 2019/08/21 at 17:14 -
いいですね、幸宏のドラム。まさに「Simple is Best」ですな。
中1で初めてYMOを聞いて一生懸命ドラムをコピーしたのが遠い昔になりました。37年前か。。
ハイハットが途中で16分で叩いたり、小節途中でオープン入ったりと難しかったなぁ。
この曲、0:52と1:53でオープン入れるタイミングを変えているのが好き。。
ところで「音楽」で「♪ ボクはリンゴかじってぇ~」と幸宏が歌ってるけど、まさか「リンゴ・スター」の
ことじゃないよね。
mokabuu
on 2020/05/29 at 00:53 -
コメントありがとうございます!
幸宏さんのドラムは一見?一聴?するとシンプルですが、いざコピーしようとすると細やかな表現が沢山詰め込まれており奥が深いです…。
りんごは、幸宏さんのルーツを考えると「もしかしたら!これは!!」って思ってしまいますね^^!
ポコペン
on 2021/04/07 at 22:25 -
幸宏さん
確かにタムのフィルインは稀少かもしれませんが
スーザンのアルバム聴いて下さい
幸宏さんタムフィルイン凄いです。やばいです
中期YMOサウンド
まさに「あばれ太鼓」