アル・ジャクソンは39歳の若さにしてこの世を去った天才的なドラマーです。
彼の真骨頂はその後ろ向きなリズムと異常なまでにシンプルなドラミング。もちろん彼もワンタム(※)でのセッティングを愛用しておりました。本日はそんなアル・ジャクソンの代表曲を2曲程とりあげて、2個のフィルインを題材に(そもそも彼のフィルインはシンプルすぎて真似出来ないのです)彼のフィルインについて書きたいと思います。
※ワンタム=バスドラムの上にタムを1つしかおかないセッティング。つまりハイタムとフロアタムのみでのセッティングを指す。
【I Can’t Turn You Loose】
あのですね。こんな馬鹿な事があって良いのでしょうか。
バスとスネアとハイハット以外の音が聴こえましたでしょうか?彼の心地よさそして飽きさせないドラミングはその以上なまでにシンプルなドラミングに隠されているのです。この曲ではバスとハイハットとスネア以外の音が聴こえません。
2拍目の裏からフィルを初めて16分音符で10発。
「とぅくとぅくとぅくとぅくとぅく」
2:00からの追い込みの部分もスネアしか使いません。
最後の方で一瞬フロアタムの音が聴こえてくるぐらいです。フロアタムを使う変わりにフィルの打ち方はまったく変化させておりません。非常にシンプルです。このシンプルさと彼のバックビートの心地よさが引く手数多となった彼の飽きさせないドラミングの正体なのです。
【In The Midnight Hour】
先ほどもそうだったのですが彼はフィルのあとにクラッシュを打たない傾向にあります。彼の邪魔しないドラムの正体はやたらめったらクラッシュを打たないところにあるのです。その代わりにハイハットのオープンクローズを上手く使い分けていたのですが、それが今度は彼の独特のバックビートの正体になります。
このフィルインもそうですね。スネアです。
「とぅくとぅくとぅくとぅ」
なにが凄いかって1曲とおしてフィルを派手にかえないところなんですよ。同じフィルを打ちながらも重心の置き所を微妙に変えて来たりしているんです。すごいマニアックなところですよね…。
【総括】
最近のドラマーでこんなにシンプルなフィル打てる名ドラマーがいるでしょうか?
僕が尊敬して止まない高橋幸宏さんというドラマーが存在します。しかしアル・ジャクソンは幸宏さんを遥かに上回るシンプルさです。僕はやっぱりタムやエフェクトシンバルは使いすぎるべきではないなと思いました。シンプルなドラミングの中でわずかに変化を付けて曲を影ながら引き立てる職人芸に天晴です。
参考:【ドラム】本当にテクノ?高橋幸宏さんのフィルが凄まじい!【タムは甘え】
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