フェレットの白血病
2020年の最も悲しかった出来事はポン太が白血病で死んでしまったことだ。
フェレットの白血病はあまり症例も多くなく、まだまだ分からないことも多いらしい。
ポン太の場合は、発見が遅れたこともあり、見つかった時にはステージⅤになっており、ほぼ手を打つことができなかった。
少しでも我々のように悲しい思いをする飼い主さんが減るように、少しでも愛するペットのために病気を早期発見できるように、我々の体験を記事として残したい。
ポン太の闘病録
僕の手記を、病院名などはマスキングしたうえで、あえて加工せずに掲載したい。
ポン太は若年生の白血病に罹患してしまい、8月26日の初診から、命日となった9月11日まであまり日が無かった。
それでも、獣医師さんが一生懸命考えてくれて、ポン太も一生懸命病気と闘ってくれた。
僕が必死にGoogleで同じ病気をした子の情報を探ったように、どこかの飼い主さんにとって、何かの参考になるかも知れないので、記録を公開したい。
8/25
エキゾチックアニマル専門医の居る地元の病院に連れていった。
リンパ腫が疑われ、血液検査を行い、白血病の数値が以上に高いことがわかる(41,700ul)。
体重も1.6kgから1.4kgまで落ちていたため栄養を点滴注射。
ポン太はまだ1歳3ヶ月僕も妻もショックを隠せなかった。
確定診断のために翌日細胞診を行うことになった。
8/26
ご飯を食べなくなってしまった。
ぐったりしていて辛そうで、動けなくなってしまった。
予定していた細胞診は中止。
エキゾチックアニマルの専門病院を紹介される。
8/27
ポン太は今日で1歳4ヶ月。
藁にもすがる思いで紹介いただいた専門病院に連れていく。
リンパ腫に加えて、白血病が疑われた。
白血球の数値は39400ul。
骨髄検査と細胞診を行うことになった。
検査のためのサンプル抽出には全身麻酔が必要であり、麻酔から目覚めないリスクあると言われた。
何もしなければ1週間の余命と言われたため、思い切って検査を行うことにする。
無事に麻酔から覚めてくれて良かった。
この日からステロイド投薬を開始。
8/28
少し元気になって歩けるようになる。
ご飯も少し食べてくれた。
1時間に3回もおしっこをしている、頻尿である。
頻尿は脱水症状を避けるためにアクエリアスを与えているせいかも知れない。
8/29
経過観察のため通院。
ご飯を食べないのでダックスープを勧められる。
ダックスープ開始、人間用のミキサーがフェレット用になる…。
僕がスムージーを飲めなくなった…。
立ち入り禁止地区のリビングダイニングを散歩したい模様。
動けるようになると、やんちゃな性格が戻ってきて、久々に左腕を噛まれた。
痛いけど嬉しい。
8/30
固形の餌の食いつきが少し悪い、ダックスープのせいだと思いたい。
9/5
その後、体調はだいぶ落ち着いていた。
前みたいに走ることはなくなったけどリビング散歩できたし、ボール運びもできた。
だから一言日記もつけていなかった。
そして今日、診断結果が出た。
白血病もしくは骨髄性の癌とのこと。
ネットで調べても症例が殆どなく寛解の記事などもない。
内臓は元気だし、良い子なのに、なんでこんな変な病気にと思うとできることは全部してあげたい。
9/6
抗癌剤の曝露について調べた。
妊婦や乳幼児だけでなく、全般的にかなり危険との学説もある。
ポン太を隔離して1人にしたくない妻の気持ちもわかるが、ポン太のためだけに家族の健康リスクをとることはできない。
妻は妊婦だし、同居のフェレットもいる。
まだ見ぬ家族のためにも僕も妻も健康リスクはとれない。
ポン太に抗癌剤を打たなければ今まで通り妻もポン太との時間を大事にできる。
でも抗癌剤を打たないとポン太はまず良くなることはない。
8年間が寿命のフェレットでまだ1歳4ヶ月、命の選択は難しい。
悩んだ末に、ポン太の世話は僕が専従することにし、明日から抗がん剤治療開始することに。
9/7
今日は朝から体調が悪そう。
大好きなバイトも舐めようとしないし、キャリーに入れてもずっとうなだれている。
結果はステージⅤの癌、おそらく急性白血病とのこと。
貧血が進んでおり、同居の子から血をもらうことになった。
抗癌剤も今の状態では打てないので、予定していたものと異なる薬を試す形に。
抗がん剤治療をしなかった場合はこの1週間が山とのこと。
9/8
9/14に予定していた抗癌剤を打つために、毎日通院して増血剤を点滴することに。
たくさん痛い思いをしているだろうに、ポン太は頑張ってくれている。
9/10
抗癌剤が効き始めたのか、ポン太の体調が少し良くなってきた。
久しぶりにボールを運ぼうとして、ケージの外に出たがっていた。
夜も遅くなっていたので「明日の朝遊ぼうね」と声をかけて寝た。
9/11
ポン太が1歳4ヶ月で死んでしまった。
朝、妻が寝室にいないことに気づき、ポン太が隔離されていた僕の書斎に行くと、ポン太は妻に抱っこされていた。
バイトも舐めないし、水も飲まなくなってしまったとのこと。
ポン太の負担を考え、動物病院での点滴は止めた。
その後、間も無くして、急に発作を起こしたように数回叫んで、ポン太は死んでしまった。
本人も怖かったのか、びっくりしたのか、尻尾が爆発していた。
たくさん苦しかっただろうし、たくさん痛かっただろう。
それでも最後まで頑張ってくれたポン太は我が家の自慢の息子である。
わかったこと
元々通院の決め手は「元気のなさ」と「頻尿」だった。
遊ぶのが大好きないたずらやんちゃっ子だったポン太が、全く動かずに伏せていることが多くなったのと、トイレに行く回数が異様に多くなったため、膀胱炎や風邪を疑っての通院開始だった。
今回、我々が知ったのは、
- フェレットの鼻や肉球や口内がピンクから、黄土色や白に変色したら、それは貧血の可能性が疑われる
ということだ。確かに、過去の写真を見返すと、ポン太の鼻は血色を失っているように見えた。
ファーファームアンゴラロングということもあり、彼の鼻は毛で覆われていたので、わかりにくいが、確かに鼻が白っぽい。
ポン太は2匹目のフェレットで我々もまだまだ不慣れなところがあったことは否めない。
フェレットの鼻の血色は今後も気をつけて見ていきたい。
抗がん剤治療と我が家の方針
結局、僕は医療従事者ではないので、最後までどの情報が正しいのか分からなかった。
と、言うのも、妊婦の抗癌剤暴露については、医師や論文によって意見が異なるのだ。
病院によっては妊娠を望む若い看護師には抗癌剤の点滴を担当させないと言う話も聴いた。
一方で過剰に意識することはないと言う意見も耳にした。
これは医療従事者ではない僕の意見だ。
抗癌剤と言うのはどうも便と一緒に体外に排出されるらしい(これは事実だろう)。
そして動物は足や毛にどうしても便がついてしまう(これも事実だろう)。
さらに毛が抜けた暁には、毛は少なからず部屋に舞うだろう(これは僕の推測だが確度は高いと思っている)。
つまり「リスクはありません は ありえません」だと思うのだ。
やはり「可能性の大小あれどリスクはある」と思う。
なので、
- ポン太の部屋に入る時はスリッパ/マスク着用
- 排泄後は速やかに「僕」がトイレを掃除
- ポン太のお世話をした後は服を着替える、シャワーを浴びる
- ポン太が死んでしまった後は部屋のカーテンは洗濯、絨毯は廃棄、ハンモックや床布は廃棄、ケージは丸洗い
した。妻がポン太を抱っこする際は、タオルで包んで抱っこしてもらうようにした。
妻とポン太の時間も大切にしつつ、リスクは最小限に抑えようと夫婦で相談した結果だ。
話はそれるが、僕は「コンサルタント」と言う仕事をしている。コンサルタントは、世の中、正解が1つでないことを前提として、時として「言い切ること/断言すること」が求められる。「こういう考え方もあります」と選択肢をいくつも提示するだけでは、かえってクライアントを不安にさせるからだ。命に関わる問題なので、医師は「言い切ること」が難しいのかも知れないが、今回の抗癌剤については「誰に聴いても明言してくれない」「結局ネットに出ているような情報しか教えてくれない」ことが不安で仕方なかった。
誰も明言しないと言うことは「大丈夫」と言う人も「万が一」を考えざるを得ないような薬なのだろうなと、自己解釈するしかなかった。
ありがとうポン太
最後にとびっきり可愛いポン太の写真を貼ってこの記事をしめたい。
ポン太と出会ったのは、妻と近場のホテルに宿泊したときだった。近所のフェレットショップに足を伸ばした結果、偶然の出会いを遂げたのだ。ファーファームアンゴラロングと言うことで、そこそこなお値段だったが、運命を感じてお迎えした。
我が家に来た時、彼は既に生後6ヶ月だった。お迎えが決まっていたのだが、お迎え予定の家族が音信不通になり、そのまま店頭で彷徨う日が続いていたらしい。
彼と家族として過ごせた期間は1年未満の短いものになってしまったが、彼の生涯が、我が家に来たことで幸せなものになっていたら嬉しく思う。
一定の噛み癖はあったものの、基本的に人が大好きで、飼い主の膝の上で寝たり、遊べと足を噛んでみたり、放牧中は終始「クククククククク」と鳴き続けていたり、本当に可愛いフェレットだった。
できれば悲しい気持ちは2020年に置いていきたい。それでもポン太と過ごした日々の思い出はこれからも決して忘れることはないし、大事にiPhoneのカメラロールと胸に残し続けたい。
ポン太、我が家に来てくれてありがとう!人生100年時代、60年70年後にポン太とまた会えるのを楽しみにしています。
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