先日行われた紅白歌合戦で「麦の唄」を披露した中島みゆきさん。
僕はプロジェクトXの主題歌だった「地上の星」で中島みゆきさんを知りDr.コトーのEDだった「銀の龍の背にのって」で中島みゆきさんのファンになりました。先日の紅白歌合戦では60歳を越えているにも関わらず、衰えを感じさせない圧倒的な歌唱力で中島みゆきさんらしい歌詞が特徴の「麦の唄」を歌い上げました。
僕は家族で紅白歌合戦を見ていたのですが父から「時代がほぼデビュー曲のようなものだった。」と教えてもらい、驚きを隠せず。中島みゆきさんの「時代」について調べてみました。
※余談ですが「麦の唄」は朝の連続テレビドラマ小節「マッサン」の内容を知ってから聴くと別格です。言葉が美しい曲ですので是非聴いてみてください。
参考:http://ja.wikipedia.org
「時代」は1975年に『第10回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会』と『第6回世界歌謡祭』でグランプリを受賞した曲だそうです。
このとき中島みゆきさんは23歳。
信じられますか?時代は中島みゆきさんが23歳の時の曲なのです。音楽性はさることながら物凄い人生観です。23歳の女性が書いた楽曲とは思えません。
参考:http://blog.livedoor.jp/ussyassya/archives/51881863.html
『第10回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会』にてグランプリを受賞したこの曲は急遽演目を変更したうえで歌われたそうです。
実はこの本選会の数日前に中島みゆきさんのお父さんが倒れられ、彼女は医師に「お父さんの命は後数日のもの」と言われていたそうです。「そんなお父さんへのレクイエムとして書いたのがこの時代なのではないだろうか?」と言われているそうです。
それでも歌い出しから最高ボルテージで絶望を歌うあたりからそうだったんじゃないかなと思います。またコード進行を見た時にも7thコードからフレーズが始まるのはこの導入部分だけです。しかもAmではなくA7。食えないですね。
参考:http://hypertree.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25
このブログの記事を見つけた時に言葉の美しさを再認識しました。
「時代」と言う比較的長い時間の塊。
そんな「時代」が「まわる」のです。※改変済み
中島みゆきさんはもともと比喩表現を好んで多く使っております。普遍的なテーマを元に日常風景の一部を切り取り、そこに写る人々をテーマにし、その1人1人にスポットを当てた曲を歌われます。
この曲でも多くの比喩表現が使われているように思えます。
参考:http://sanjigenkashi.blog.fc2.com/blog-entry-110.html
上記のブログ記事を見て初めて気がつきました。
悲しい事・辛い事があってもいつか笑える日が来るよ。
と言う非常に暖かみのある、言ってしまえば「応援ソング」ともとれる歌なのですが曲中に中島みゆきさんは一度も「頑張れ!」とは言っていないのです。
それでも歌い出しの最高ボルテージの絶望から始まった曲はラスサビでは今度は最高ボルテージでの希望を歌って終わります。ギターコードだけ見るとイントロはCadd9とFmaj7だったのに対し、アウトロではAmDmFmCと進行しております。
和音が素直になっていますよね。
最後までコードにあまり変化がない曲ですが最後の最後で違ったコードが見えるのも面白いです。
参考:http://popn.tea-nifty.com/memo/2013/04/songs-e311.html
私が自分で歌うときにはいっそもう何の意味も込めずに『無』といった気持ちで歌うほうがいいのかもしれない
どうやら中島みゆきさんは歌詞の意味を限定することに強い拒否感を持っているそうです。そしてそんな拒否感を持っていながらも自らが「無」で歌えない事への葛藤を抱いているようです。
確かに中島みゆきさんの曲には必ず比喩表現、特に暗喩表現が多く含まれているように思えます。上記のブログ記事から察するにこれは100人の聴き手に100通りの解釈をしてもらうためなのでしょう。
しかし中島みゆきさん自身がおっしゃっているように彼女自身「無」で歌うことはあまり無いように思えます。と、言うのも僕が聴いた限りでは中島みゆきさんは声色の使い分けが非常に上手な歌手の1人だからです。「時代」も曲のAメロに入った瞬間に凄く優しくて柔らかい声に変わります。「銀の龍の背にのって」ではAメロではどこか悲しげな声で歌っております。そしてそれがだんだん悲痛を嘆く力強い声に変わって行き…。
やはり僕は中島みゆきさんの歌が大好きです。
それでもここまで調べてもそれがなんでなのかは上手く言葉に出来ません。でもきっと歌に込められた中島みゆきさんのメッセージを僕が僕なりに解釈出来るように中島みゆきさんが歌っているからなんだなと思います。
中島みゆきさんの歌は音楽的面でも日本語面でも非常に精巧に作られた繊細な表現だから僕は彼女の歌が好きなのかもしれません。
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