平和な昼下がり、朝ご飯のサンドウィッチを食べている時に突然のインターホンの音。
「近くに引っ越して来たのですが…。」
ドアを空けると金髪のギャルが。
「不要になった新聞紙やダンボール等を回収させてください。」
いや!引っ越して来た挨拶じゃないんかい!“引っ越して来た”業者なんかい!!と思いつつもこれはチャンスと思い要らない雑誌やダンボールを渡すと今度はまた職業七変化。金髪のギャル、実は某○○新聞さんの手先でした。
みなさんこんな事ないですか?
酷い時には宅配って言うからドアあけたら新聞だったとか。
流石に色々モラルを問いたいところもありますが、新聞の押し売り、彼らは営業のプロです。イライラしつつも彼ら彼女らの営業に対する姿勢に学ぶところも多くあったので日記を書きたいと思います。
【①聴いて誉めて共感する】
新聞のセールス、やたらと立ち話したがりませんか?こっちが早くドアをしめたがっているにも関わらず本当によく話します。「聴いてねーよ!」って事まで話します。
そしてそれと同時にやたらとこちらのことを聴いてきませんか?
年齢、出身、学科、ゼミの研究テーマ、色々聴かれました。半分以上答えたくない個人情報でしたが答えないわけにもいかないのでオブラートに包みつつも答えさせられました。
するとやつら流石プロなんですよね。
まず1に誉めて2に誉めるんです。そして3で自分の知識の範囲内で共感するんです。まぁよく他の学生の部屋での話等覚えているものですよね。「○○○号室の学生さんがァ」止まりません。1個でも共感出来る、話を繋げられるポイントを見つけて即食いつきます。凄いです、もう。新聞のセールスなんてやっていないでキャバクラで働いたらNo.1指名とれるんじゃないかな?ってぐらい気持ちよくこっちに話をさせます。
【②目を見て話す】
これもそうですね。相手の目を見て話します。
そして相手が若い女性の場合やたらと上目遣いをしてきます。玄関が1段高くなっている地の利を利用した賢い作戦だと思います。目を見て話すと僕みたいな芋野郎はだまされちゃう事しっているんでしょうね。でも残念ながら僕の「新聞とらないぜ!」って意志は強いです。でも伝えたい事は目に力を入れて相手の目を見て話す、これすごい会話の基本だと思うんです。流石セールスのプロです。目線の使い方上手でした。
【③相手に合わせてシチュエーションを変える】
色々思うところはありますが、やつらは大抵同情を求めてきます。
「○○で大変だからせめて今月だけでも契約してください。」はセールスの決まり文句なんです。僕はムツゴロウぐらい愛に溢れた人間ですが、学びました。セールスに愛は無いです。
しかし自分の話を沢山聴いて自分を誉めてくれた人間に目を見ながら懇願されては人は情けをかけてしまうものです。彼らもまた上手いんですよ、シチュエーション作りが。
以前来たお兄さんは「妻と子供2人が居て生活が云々」って言っていました。彼は僕が大学1年生の時に来たのですが20歳と名乗っていました。
今回来たお姉さんは「大学に行きたくってバイトをしていて今は家賃も云々」って言っていました。彼女は本日来たのですが22歳、僕の1個下だと喜んで居ました。
まあ上手いもんです。
歳が近いと相手の気持ちも想像しやすいです。大学4年生の僕にとって「ようやく内定先が決まった22歳の男子生徒の気持ち」は「孫が生まれたおばあちゃんの気持ち」よりも想像しやすいです。自分により歳やシチュエーションが近いからです。
実はこれ営業の基本なんです。
以前某IT企業の人事の方とお話をした際にこのような事をお聴きしました。
「学生のうちは日本一周とかした方が良い。その土地で生で見て感じたものは営業でこの上ない武器になる。」
これってもちろん会話のネタとして「共感」でも生きますが、その土地の風土や文化に触れる事でシチュエーション作りに役立ちますよね。新潟と東京で「積雪」についてまったく同じように同情を買おうとしてもそれは難しいと思います。新潟の農家では雪が降らないと春先に水不足や土の栄養価不足や土質の変化でこまってしまうのですから。
まあまああげればキリがないのですが、こんな感じでやつらは上手くセールスしてくるんです。
でもだましきれない、っていうか、僕らを現実に突き返すミスを彼ら彼女らはしてしまうことがあります。
【①同情かえますか?】
先ほど遊びに来てくれた金髪のギャルは初対面の人に自分の学費や家賃の話して「私のために一日100円だと思って…」と付け加えました。これ、マイナスですよね。
「なんで知らないやつの為に1日100円も払わなきゃいけないんだ!」って思わせてしまいます。これは賛否両論かもしれませんが、僕は良くないと思います。そんな同情買うぐらいだったら「○○新聞をとる事であなたの生活がこれだけ変わる!」ってメリットを上げてくれた方が余程買う気になります。
見ず知らずの初対面の女の子に1日100円渡すぐらいなら、彼女に使ったりアフリカの貧しい子供のためにつかったりないしは親孝行に使います。
【②契約書にペンを入れる】
先ほど遊びに来てくれた金髪のギャルは「この契約書(30人分)が今月のノルマだ。」と言っていました。っていうか嘆いていました。それにも関わらず「4000円ってお高いですよね」と言いながら僕はまだ契約すると言ってないにも関わらず¥4000とかかれば枠にペンを入れたのです。
もしもですよ。
本当に生活に困っていて、絶対に30枚の契約書を埋めなければいけない人間が居たとします。
契約書、無駄になるようなことしますか?1枚でも契約書無駄に出来ないはずですよ。30枚の契約書を全部埋めるのがノルマで渡された契約書の束は30枚入りなのですから。これはもうなんか悲劇トークに付き合う気も失せますよね。僕が同じ状況だったら契約書の束をクリアファイルなりバインダーなりにいれて汚れないように後生大事に持ちあるくかと思います。
【③執拗な自虐】
先ほど遊びに来てくれた金髪ギャルは「自分は最低な人間だ。」と卑下しておりました。
中学では遊びほうけ高校にはいかずフリーター人生。それでも高校3年生の時に改心して(高校行ってないんじゃないの?)家族の為に立派になろうと決意し定職を得るために大学進学を志しただとか。それで今は文教大学に行きたくって必死に学費稼いでるらしいですよ。
そんな彼女慶應義塾をよいしょよいしょするために文教大学を「金さえ出せば入れる大学」って言いました。自分の第一志望を下げて相手を持ち上げているつもりかもしれませんが、自分の志望校をそんな風に卑下する人から新聞買いたいって思いますか?
更に言ってしまうと文教大学には僕の大切な友人何人かいます。
何かを持ち上げる時に何かを悪く言うのってあまり良い表現じゃないですよね。特に不特定多数の人を悪く言うのはどうかと思います。そしてこの場をかりて言ってしまうと文教大学は決してそういう大学ではなく、アプリ開発という1面では全然慶應SFCの学生とは比べ物にならないほど優れた作品を作っている生徒さんもいらっしゃいます。
彼女、自虐が激しく。
「既にこんなに最低な人間ですのでこれ以上約束を破るような真似をして…」とかかなり言っていたのですが、何度も言いますが最低な人間からものを買いたくないです。自分の仕事に誇りを持って自分の仕事を全うしている人から、自分の売っている商品に誇りを持っている人から買った方がよほど幸せです。
たかだか30分強、押し売りセールスと話しただけで改めて大切な事に気がつけました。
クライアントとの話し方はもちろんですが、それ以上に自分の作っているもの売っているものに誇りを持ち・自分の仕事にほこりをもって全うしている人はそしてその人が売っているものは輝いて見えると言う事です。
さてさて。
直近の自分の仕事を考えるとサークルでのライブがあります。
自分の裏方の仕事にもステージでのパフォーマンスにも誇りを持ち全うしたいと思います。
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