僕が所属しているアカペラシンガーズK.O.E.には総勢200人近いサークル員が所属しております。そしてそんな200人のサークル員達は年に2回ある大きなサークルのコンサートの度に「班」と呼ばれるものに所属することになります。
わかり易いものですと、音響を司る「PA班」だったり照明を司る「照明班」なんてものがあります。
そして僕は「受付班」と呼ばれる「班」に4年間籍を置いてきました。
「受付班」と言うと、どんな仕事があるのかさっぱりわかりませんよね。
簡単に言ってしまうと「当日来たお客さんからお金をもらってチケットを切り客席まで誘導をする受付の仕事」です。タクシーの手配をしたり、バス停までお客さんを誘導したりするのでホテルのフロントみたいなお仕事と思っていただけるとわかり易いかもしれません。
プラスそれに加えて受付の装飾を行います。
普段は無機質な廊下に机を配置したり、それっぽいオブジェクトを置いたりして、「コンサート」と言う非日常的な空間をつくり出します。
簡単に言ってしまうと「接客担当」ですね!
僕は大学入学当初は軽音サークルに入って居たのですが、いろいろあって夏ぐらいから友人の紹介でアカペラサークルへと移籍しました。
1人遅れてサークルに入った僕は、いきなりなんの説明も無しにサークルの中での1年の最大行事である「サマーコンサート」に関わる事になります。
たまたまその「サマーコンサート」と「班」の説明をしてくださった先輩が「受付班」の先輩だったので僕は成り行きで「受付班」に入る事にしました。
サークルに入ってすぐに受付班の作業は始まりました。
僕は右も左もわからぬままとりあえず言われるがままに作業をするようにしていました。ある日、一通り自分の作業が終わったので近くで作業をしていた当時4年生の先輩に
「何かお手伝い出来る事はありますか?」
と聴くと予想外の答えが返ってきました。
先輩「おお!お疲れさま!新しく入ってくれた子だよね?なんて名前だっけ?」
僕「初めまして。11(2011年度入学)のつねこーと言います。よろしくお願いします!」
先輩「つねこーよろしく!」
先輩「つねこー!もう高校生じゃないんだから仕事は自分で周りを見て見つけなきゃダメだぞ!一緒にサマコン頑張ろうな!」
僕はビックリしました。
まさかサークルでこんなことを言われるとは思っても居ませんでした。当時まだ大学1年生だった僕でも「仕事は自分で見つけなきゃ」ってことぐらいはわかっていましたが、サークルで先輩からそんなことを言われるとは思ってもいなかったのでかなりビックリしたのは今でも覚えています。
それと同時に「入会直後に先輩にわざわざこんなことを言っていただかなきゃいけない自分やべーな」と思ったのも鮮明に覚えております。その先輩が元サークルの代表だったと知った時は凄く良いサークルに入ったなと思いました。
それから数週間が経過し僕も少しずつ作業に慣れてくると、僕に「班」の説明をしてくださった先輩に呼び出されました。
先輩「はい!」
先輩(1000円札を突き出す)
僕「これはなんのお金でしょうか?」
一瞬期待しましたが、まさかお小遣いではあるまいと思いました。笑
先輩「これでそこの壁一面装飾して街並にして!」
壁と言ってもかなり広いです。たぶん横幅15メートルくらいはあったんじゃないかと思います。
何も道具が無い中で1000円で壁一面を街にするなんて絶対に無理だろうと思いました。仕方が無いので他の先輩に相談したところ「俺が予算増額出来ないか聴いてやるよ!」と言ってくださったのですが結局予算は増えず。
入会10日以内にして壁の装飾を1000円と言う予算と共に任されたのでした。もはや「受付班」には「キャッチアップ」と言う概念が存在しないのだなと思うと嬉しくも楽しくもあったのでしょうが、当時は右も左もわからぬ1年生。もう目の前の事に必死でした。笑
※まあ今でしたら1000円と言う予算に執着せずに如何に予算を増やしたり予算に捕われない装飾をするか考えると思うのですが、この装飾がなかったら多分今の僕はいません。
僕は4年間サークルに身を置き続けましたが、4年間通じてあれ以来「なんの引き継ぎも無しに1年生にお金と裁量権だけを渡す先輩」や「入会初日から自分で仕事を探せと言う先輩」を見た事がありません。
しかしそこで頑張った分、次のコンサートでは「サブチーフ(副班長)」と呼ばれる役職をいただけましたし、その次の新歓のためのコンサートでは「アシスタントプロデューサー(コンサートのNo.2)」に抜擢していただけました。
これは多分先輩から「自分で考えて自分で動け!」と言われてなければ、「限られた条件の中での一定の裁量権」を頂いていなければ、得られなかった事です。
それらの経験が生き2012年の冬にはコンサートのプロデューサー(責任者)を任せてもらえました。色々至らない部分はありましたが、「受付班」にも「先輩」にもプロデューサーを任せてくれた「同期」にも感謝しなければなりません。
4年間でこの貴重な体験をさせていただけたのは間違いなく最初に「受付班」に入り偉大な先輩方と接する事が出来たからだと思います。
僕も後数ヶ月で社会人です(卒論が終わりません)。
就職する予定の会社は非常にベンチャー気質が強い会社です。そんな会社を選択したのももしかしたらストイックな環境で「班活動」をさせてくれたサークルがあったからなのかも知れません。
「仕事は教わるものでも与えられるものでもなく周りを見て自分で覚えて手に入れるものだと言う事」と、「限られた条件の中でも”無理だ”と決めつけずに頭を使って目標を達成する事」を忘れずに、大学1年生の自分に学び社会人生活1年目に挑みたいと思います。
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