【アカペラ】オーディションの審査のすゝめ(2021年夏の改訂版)


評価の潮流が変わっている

どうも!mokabuu.comです。

今までの僕の審査の記事は一度忘れてください。

なぜならば僕の意見が変わったからです。

正確には僕の意見が変わったと言うよりは、僕の意見を変えなければいけないぐらい世の中が変わったからです。

人事の世界でも「ノーレーティング」つまりは「点数をつけない評価」が増えております。これだけ書くと「なんじゃそれ!」って感じですが「ジョブ型雇用」とセットで「処遇(昇給やボーナスの査定)を評価から切り離した考え」が時流にのっており、僕も「平等に審査するために点数は厳格につけるべきだ」なんて言っていられなくなってきたのです…。

※人事の話はまた今度…

なので、今日は令和の時代に相応しいオーディションでの評価を考えてみました。


多様化がキーワード

この観点は人事とはほぼほぼ無関係ですが「多様化」が1個目のキーワードです。

突然ですが質問です。

  1. Smooth AceさんのShineと、PentatonixさんのPretenderを演奏したバンドがあったときにどのようにリズムを比較しますか?
  2. DaiSPiさんの夏祭りを歌ったバンドと、Try-Toneさんのわせあこを歌ったバンドの、ハーモニーをどうやって比較しますか?

もはや無理ですよね。音楽が多様化しすぎていて比べようがないですよね。

しかも「ハーモニーが命の曲」と「リズムが命の曲」があるのはもちろんのこと、最近では「もはや特定のパートの個人技が命運を分ける曲」も増えてきていますよね。

全部の曲を同じ評価項目で同じように審査するのは無理があるところに来ています。


評点が邪魔をする

そして音楽が多様化しているにもかかわらず、統一の評価項目と評点で審査することで、いらん誤解を招きます。そして不信感にもつながります。

例えばVox OneさんのOver The Rainbowを歌ったバンド「ハーモニーが2点/5点」「表現力が4点/5点」「リズムが4点/5点」でした。これ、十中八九落としますよね。

では、PentatonixさんのSingを歌ったバンド「ハーモニーが2点/5点」「表現力が5点/5点」「リズムが5点/5点」でした。先程のOver The Rainbowに比べて合格の可能性が高そうに見えませんか?

曲によって何が大事かは異なっており、Over The Rainbowが落ちた理由は「表現力が4点だから」でも「リズムが4点だから」でもないのです。

ただ、点数をつけてしまうことで、他のバンドと比較したときに、あたかも「自分たちの方がハモっていたのに」と言う誤解や、「合格したバンドと比べてリズムが悪かった」と言う誤解を生みかねません。

つまり評点が邪魔になるのです。


評点をつけない or 同じカテゴリ間で比較する

なので、僕は令和の時代の審査は以下の2つのオプションをお勧めします。

  1. 点数をつけないノーレーティング方式で審査を行う(その代わり審査員が個別に行う講評はとっても大変)
  2. 点数はつけるもののあらかじめ曲のジャンルなどを軸に枠を定めておき、同じカテゴリの曲同士で枠を争う形式にする(かつ点数の幅を狭くする)

理想は#1だと思います。点数に引っ張られることなく、バンドの良かったところ/上手くできなかったところがフィードバックの対象になり、次の審査に繋がることが期待できます。一方で、審査の納得感が低いものになった際に、バンドへの講評で審査員のコミュニケーションスキルが試されます。

なので#2をあげてみました。似通った曲同士で枠を争う形式です。このときは、点数の幅を狭くしておくことが大切でしょう。例えば10点満点の5点だとまだ上に5点分の伸び代があるように見えますし、じゃあどうすればもっと高い点数が取れるのか気になりますよね。しかも自分達と差がないように思たバンドが6点だと「むっ」としませんか?

一方で3点満点の2点だったらいかがでしょう?

「ああ最高点ではなかったな、どうやったら最高点をとれるのかな(だいたい想像はつくけど)」で終わりませんか?しかも大差がなかった場合は全バンドが同じ「2点」で落ち着きますよね。

審査員としても5点と6点の差を明文化する手間が省けますし、自分が6点ではなく5点をつけたことでバンドの士気を下げてしまったことを気に病まずにすみます。なので、審査やフィードバックをし易くなると言っても過言ではありません。


令和の審査

僕は勝手ながらこのアプローチを令和の審査と名付けたいと思います←

そういえば、以前、サークルライブの審査をさせていただいた際の休憩時間に「某サークルでは審査は”ただ合格バンドを8個決めるだけ”と言う審査だった」と聞いたことがあります。

当時はノーレーティングの評価がここまで世に出回っていたわけでもないので、これは平成に令和の審査を先取りした形で、今思えばすごく前衛的な素晴らしい制度だったのだと思います。

僕が今、2012年の冬のサークルライブのプロデューサーに戻れるのであれば、審査は「3段階で魅力を評価してください」の1本で行くと思います。

1点:不合格が妥当

2点:どちらとも言い難い(8〜9割がここに属すると予想)

3点:絶対に通すべき


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