これは昨年のJAM(日本のアカペラ界で一番大きなイベント)の2次審査の際の総評です。こちらで元TRY-TONEの北村嘉一朗さんが書かれていたコメントがある種僕の中で信条として残っているので紹介したいと思います。
===以下引用===
他のグループのアレンジをそのままうたっているのに、あたかも自分たちのオリジナルのように歌ってしまうグループが見られました。エチケットとして、カバーした場合はその旨、一言でもいいので紹介するべきだと思います。
これについては賛否両論あるのも知っています。しかし、いわゆる「完コピ」というのが、JAMのコンサート趣旨に合っているのか、議論が必要だと思います。僕個人的には、なるべく完コピは避けるべきだと考えます。
JAM本番のように、一般のお客様も多く見るステージでは、完全コピーよりも、オリジナルアレンジを期待したいです。どうしてもコピーをやりたいという場合には、その必然性がほしい。どうしてそれをやるのか?何の意味があるのか?お客さんに何を伝えたいのか?もし、やるとなった場合、少なくとも、自分たちの工夫をどこかに入れる努力をしてほしいです。そうでないと、単なる自己満足で終わってしまうと思います。
【二次審査総評 | JAMスタッフのブログより引用】
僕がオリジナルアレンジに拘っているのはおそらく僕を育ててくださった先輩の言葉の影響も大きいでしょう。
プロのバンドの楽譜を歌うことやプロの完コピをすることを否定するわけではありません、寧ろこの上なく大切な事だと思います。僕自身もVox Oneが大好きで”Say You Love Me”や”Respect”そして”Lovin’ You”などの代表曲を嗜んできました。今はいっしょに”Chameleon”を歌ってくれる仲間を日夜探しています。笑
プロの楽譜を歌うことで「楽譜の作り方の勉強」だったり「細かい表現のコピー」だったり「インプットを増やす事」が可能になります。これをせずにいきなりオリジナルアレンジに拘ると良いものは作れません。一度も漫画を読まずして漫画家を目指すようなものです。
それを踏まえた上で、僕はやっぱりオリジナルアレンジには拘りたいなと思います。
まあ書けばキリがないんですよ。
- 完コピなら原曲聴けば良いじゃん。
- プロだって自分たちに合わせて楽譜作ってるんだから素人なんだからもっと自分たちに都合の良いように作るべきだ。
- プロの楽譜歌ってて楽しいのは自分達でそれを聴いたお客さんに原曲以上のものを残せるのか。
- 2番煎じ。
まあ書けば出続けるわけです。
その点で僕は「プロのバンドの○○っぽいアレンジ」って言うのは凄く評価すべきなんじゃないかな?と思います。
それだけその楽譜を研究し模倣することで、そのプロのバンドが歌ってそうな楽譜をそのプロの楽譜をパクる事無く自分たちなりに落とし込んだ産物と言えるのではないかな?と思います。そこに自分たちなりのバンドの色が出るのではないかな?と。
それでもプロの編曲能力に頼らずに自分たちでそれ相応のものを作るのには努力と勉強が必要です。
アレンジは結局は自己満足と言いますが、僕が尊敬している先輩のお言葉を借りるならば「オナニーも見ていて気持ちいいものと気持ち良くないものがある。」です。
自分達が気持ち良くても聴いている人が気持ちよくなかったらそれは本当にナンセンスです。スタジオにこもって自分たちで自分たちの為に歌っていれば良い話になってしまいます。
皆がプロの楽譜をカバーしたいと思うのはそこに何かしらの魅力を感じるからですよね。
魅力がある楽譜を作るための道は険しいです。その道の高みである「聴いていて気持ちいい自己満足」を実現するためにもプロの楽譜を歌い研究や勉強を重ねる必要があるのではないでしょうか?
そしてプロの楽譜を研究し勉強を重ねた上で「原曲を自分たちなりに落とし込んだ自分たちの表現」が出来れば最高なんじゃないかな、と僕は思います。
最後に。
僕は同アカペラシンガーズK.O.E.に所属する浅葱(@asagi_koe)と言うバンドが大好きです。
彼らはTRY-TONEさんの楽曲を主にコピーしていましたが、その中にも常に浅葱らしさ浅葱のバンドとしての色がありました。そして今回、バンドとしての最後の夏のサークルライブで初のオリジナルアレンジに挑戦しています。
プロの楽譜に学んでオリジナルアレンジにたどり着いたお手本であるかのように見えます。是非浅葱の集大成となるオリジナルアレンジ聴いてみてください。浅葱の演奏は以下の日程でお聴きして頂く事が出来ます。
あなたに届けたい、歌があるのです。
アカペラで伝えたい。アカペラで幸せを感じたい。
7月21日、ぜひθ館にお越し下さい。
ご予約はこちらからお願いします!→http://t.co/kwHXqa2a5g pic.twitter.com/m2cqolkU6y
— K.O.E. 『PRODUCERS』 (@sum14_koe) 2014, 6月 11
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