【音楽】SEKAI NO OWARIのプレゼントについて答えてみた!〜後編 中学校の合唱曲の難しさ編〜


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今週のお便り
PN 匿名希望さん

はじめまして。
アカペラや音楽が好きで、たまにブログ覗いてます。

mokabuuさんの音楽評論が面白いので、自分の疑問に答えていただきたいと思い、メッセージ書かせていただきました。

テーマは、最近流行になっている、あるJpopの楽曲(と、それがもとになってできた合唱曲)です。

最近、SEKAI NO OWARIというグループが、若者の間でやたら流行っていると思います。
そして、このグループは、最近ではNHK合唱コンクールの課題曲の作曲という一大事業も成し遂げたようです。
この課題曲『プレゼント』について、mokabuuさんの意見や感想を教えていただきたいです。

私はこの曲の、とくに合唱バージョンのほうに最近心打たれました。

しかしこのグループのもつ音楽性や、あるいはこの合唱曲については、否定的なものも含めていろいろな意見があると思います。

たとえば、

*セカオワの音楽は単純で面白くない。
*セカオワの曲はいかにもJPOPって感じで、ありきたりだ。
*セカオワの楽曲『プレゼント』は、JPOPとしてはいい曲でも、合唱曲にしては難しすぎる。
*セカオワの楽曲『プレゼント』は、編曲の良さでなんとか持っているだけで、メロディ自体は面白くない。

などの意見をよく耳にします。

mokabuuさんはこうした意見をどう思いますか?


あのですね。
このブログ始まって以来の難易度です。
このお便り。

初めにお断りしておくと
僕はどんな曲にも長短ってあると思います。

しかし今回はテーマがちょっと大きいので前編後編分けて
記事を書けたらなと思います。

後編の今回は「中学校の合唱曲作曲の難しさ」に触れて行きます。

ちなみに前編はこちらから。

【音楽】SEKAI NO OWARIのプレゼントについて答えてみた!〜前編 プレゼントと言う曲の素晴らしさ編〜



歌詞以外に啓発的な要素はあるのか?
音楽の醍醐味はなんと言っても音をつかった自己表現です。
以前以下のような記事を書いたところ大変反響がありました。

参考:【アカペラ】合唱曲「時の旅人」の転調が美しい!

中学生向けの合唱曲として有名な「時の旅人」に隠された意図を書き出した記事です。

「時の旅人」と言えば転調だらけで
主旋律を歌うパートがぽんぽん変わる曲
としても有名です。

しかしそれらの目まぐるしい転調と主旋律の交代は
それぞれのパートがより主体的に曲造りを考えるために施された策であり
ところどころしっかりと照れずに声を出さなければ声が出ないパートだったり
声変わりをしたばかりの男子のストライクゾーンど真ん中のパートだったり

全員が心を1つにして照れずにしっかりと声を出した時に
初めて美しいハーモニーが響くような作曲がされている
のです。

今回のSEKAI NO OWARIの「プレゼント」に「時の旅人」と同じだけの
音楽的な気付きや啓発が埋め込まれているのかと考えると微妙です。

僕はせっかくの中学生向けの曲なのだから
歌詞だけではなく音を歌うことで得られるメッセージも
しっかりと埋めこんで欲しいなと思いました。


FUKASEの曲ではなく中学生の曲にして欲しかった

この曲のサビに注意して聴いてみてください。
まあいつものFUKASEのストライクゾーンですよ。
SEKAI NO OWARIらしい演奏です。

ちょっと待ったァー!

「そばにいてよ」ここです。
「その言葉」ここです。

合唱って通常こう言う高音を吐き捨てるように切ることってありますか?
これはFUKASEさんが得意な表現技法であって
恐らくSEKAI NO OWARIで歌うことを前提につくったが故に存在する音かと思います。

こと合唱のことだけ考えればここはロングトーンの方が美しいです。
この曲は中学生の合唱コンクールのために作られた曲です。
正直FUKASEさんの音域の都合とかそういうのはどうでも良いのです。

アカペラアレンジを嗜んだからこその視点なのかもしれませんが
ここはしっかりとロングトーンにするか
最高音を吐き捨てる(当て逃げをする)かのように歌う作りにするのではなく
しっかりとお互いの声を聴いて伸ばせるような音にすべきなのではないかと思いました。

すくなくとも他の中学生向けのこのテンポの曲で
最高音をこういった歌い方で作ってある楽譜を僕は知りません。


アンジェラアキの「手紙」との違い
SEKAI NO OWARIにはSAORIさんと言うピアニストがいらっしゃいます。
じゃあなんでピアノ1本の作曲をしなかったのか甚だ疑問です。

同じくNコンの課題曲を作曲したアンジェラアキさんはピアノ1本で作曲しております。
そして恐らく合唱バージョンを強く意識してつくったのでしょう。
サビの最後では敢えてオクターブを変えて大事な歌詞を歌い直しています。

やっぱりアンジェラさんがピアノ1本で合唱を意識して作られているのもあって
合唱にした時にこちらの曲の方が「合唱栄え」しているのではないでしょうか?

明るい調性、
前に進むような前向きなリズム、
そしてラストでの転調、

この曲にはしっかりと音楽的な素養が盛り込まれています。
そして言うまでもなく「人生」「信じる」と言うように歌詞にもメッセージが込められています。

転調を駆使して一度転調したものを戻すことで
15歳の僕に場面を戻しそこを敢えてmpで歌わせる曲づくり
など
こう言った工夫が中学生の楽譜には必須だと僕は思います。


まとめ
今回のお便りの中で「こういった否定的な意見があるのだけれども・・・」と言う内容が記載されておりましたが

僕は別にセカオワの曲は単調でつまらないとは思いませんし
セカオワの曲は合唱曲としては難しすぎるとも思いませんし
別にJ-POPとしてありきたれているとも思いません。

ただ僕なりに音楽評論をさせていただくのであれば
中学生の課題曲として選定するには音楽的な啓発や
音楽的なメッセージ性が弱い
と思います。

もっと中学生の心情(合唱一生懸命は恥ずかしい)
身体的な事情(声変わり等)によりそって曲をつくってあげたら

歌詞だけでなくもっとメロディーにもメッセージが宿って
より素敵な曲になったのではないかな
と思いました。


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