本日1年生の後輩と練習をしている際に「せっかく先輩が居るのにバラードは次の曲でバラードを歌うのはもったいない。」みたいな話が出たので記事を書いております!
そうなんです!
意外と勘違いされがちですがボイスパーカッションはバラードの方が格段に難しいのです。連打なんて巻き舌していればそれっぽく聴こえますし連打は少し練習すれば誰だって出来ます。
「バラードのボイスパーカッションは鬼のように難しい」
今日の記事のテーマはこれでいきましょう!
今回は題材としてこの曲を拾ってきました。
さっそく解説していきましょう。これがバラードのボイスパーカッションです!
【1サビ】
あのですね!
聴いていただければ分かると思いますが1番のメロディーではドラムはいません。一瞬フィルを入れては消えて行きます。そうなんです!バラードのボイスパーカッションでは我慢が凄く大事なんです。どこまで聴衆をじらせるかも1つの腕のみせどころなのです。
【2A】
1拍目の表と3拍目の裏にバスドラム。
そして4拍目の表にクローズリムショットが入っていますね。
リムショットはスネアの淵を叩く奏法です。通常のスネアに比べて静かになります。そしてバスが3拍目の裏に入っているのが味噌です。どこか後ろ向きのリズムが産まれているのはこいつのせいです!こいつが表に入った瞬間に進行する感じが出て曲が前に進みむのですが、敢えて裏にいれることによって曲が前に進みすぎないようにしています。
【2B】
2拍目の表にもリムショットが入りました。強拍が増えた証拠です。今まで1小節に一回のスナップでリズムをとっていたのが1小節に2回スナップしてリズムをとるようになります。ここで拍の感じ方が変わるのが味噌です。より細かに拍を感じる事で少し盛り上がります。
【2サビ】
リムショットは抜けましたが、バスが正拍に入る事で力強い感じが醸し出されます。サビの「いつか誰々みたいな」っていう強い主人公の気持ちと呼応するような心地よいビートですね!更に先述したように曲の進行感も産まれていますね!
【ラスサビ】
ハイハットはライドに。そしてクローズリムショットはスネアに変わりました。しかもビートは16ビートになりました。もう見るからにですよね。手数も増えましたしドラムがあからさまに聴こえ始めました。ラストの盛り上がりを作っております。
っていうね!
バラードでは我慢してじらしてじらして、最後には思いっきり盛り上げなきゃなんですよ!つまり常にどこかしらで音がなっているアップテンポな曲だと50〜100だけで曲が作れるのに対し、0〜100を打ちこなせないと曲を作れないのがバラードなんです。
テンションの高低差が激しくなるので如何に自然に盛り上げて行って心地よい曲を作って行くかってところは本当に職人芸の一種だと僕は思っております。
引き続きこの曲を題材に。
バラードでは通常のビートだけでなくフィルインでも曲の盛り上がりを演出していく技術が求められます。逆に言うと如何に通常のビートで盛り上げようが、フィルで奏者そして聴衆を盛り上げられないとその時点で良い奏者とは言えません。それではどのようにしてフィルでもりあがりを作るのか?見て行きましょう。
【イントロ】
この曲のキャッチフレーズとも言える音と同じ動きでライドを叩いております。リズムがまったく同じで裏で効果音的に入れているので凄い静かに入っていますよね。
【1A】
中身がある音を一個も使っておりません。
クローズリムショットとハイハットとシンバルだけ。もはや芸術です。静かですよね。
【1サビ】
ロールですね!ごめんなさいmusescoreではロール打てないんです!
ここもシンバルだけで魅せてきました。それでもロールすることで「何かが来る!」感じを醸し出しているのは流石です。きっとスネアだとうるさすぎるからライドにしたのでしょう。
【2A】
だんだん派手さが増してきましたよ!
ドラムがドラムらしい動きをし始める2A直前のフィルインです。
それでもやはり中身の無い音のみでのフィルインです。まだスネアもタムもバスドラムでさえも打っていないんです。凄いですよね。
【2B】
タムが2個!まだじらすか!
まだスネア出てきませんよ!バスもまだ出てきませんよ!タムが2個!たったの2個!
しかもタムを出した変わりにリズムが至極シンプルなものになっております。徹底的に静かに打ってきますよね。
【2サビ】
おお!ようやくクラッシュシンバル使いました。
そしてタムが3個に増えました。フィルで使用するシンバルの数も増えていますね。またここでようやくバスドラムが登場します。ようやくです。
だんだん盛り上がって来た証拠でしょうか?
【ラスサビ】
出ました!3連符ですよ!
明らかにリズムが難解なものになっていますよね。こうやってバラードの曲は盛り上がりを出しております。そして僕の怠惰で何個かフィルを飛ばしたのですが、フィルインがラストに向けて徐々に長くなって行くのも1個の特徴かと思います。
【ラスサビ】
ついでにもう1つ。
拍をまたいだり32分音符が登場したりもう素人目に見ても盛り上がってるとしか思えない演出です。これを見て聴いて1番のメロに比べて盛り下がったってやつがいたら病院につれていってあげましょう。
これがバラードのフィルインです。
徐々に長さを長くしたりリズムを難解なものにして行ったり、こうやってラスサビの壮大な雰囲気等を作っているのです。バラードのパーカスは常に策士であり続けなければ行けないのです。
歌う前に歌い終わった時の景色が見えていて逆算が出来る人間でないとバラードの演奏は出来ないと僕は思っております。
単純に音程が悪かったり、打ち損じたり、走ったりもたったりが目立ち易いです。
テンポが遅い分少しのズレが本当に悪目立ちしてしまうので一切のミスが許されないのがバラードです。神経がすり減ります。笑
これはまあ言わずもがななので割愛します!
いかがでしょうか?
バラードのボイスパーカッションはテンションの高低差が激しいが故に0(全く打たない状況)〜100(32分音符や3連符を使った盛り上がりなど)まであらゆるテンションでの演奏が出来なければならないのです。
さらにそのテンションの高低差をつけて行く中で1個1個のミスがかなり目立ってしまうため、盛り上がりを演出する一方で堅実な演奏をしていく必要があります。
一見連打や音色が格好良さげで難しげに聴こえるアップテンポよりもバラードは難しいのです。
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