先週末に買って絶賛今読んでいる最中の本です。
その本の冒頭の方で森川さんが音楽について触れている章がありました。
森川さんはもともと野球をやっていたのだけれども
野球があまり好きではなかったそうです。
そんな彼の心情を察しての事か彼のお母さんが
勝手に彼の名前で合唱のオーディションに申し込んだらしく
それ以来森川さんは音楽にはまっていくことになったそうです。
この章では音楽がビジネスと結びつけられていたのですが
この章で書かれていた森川さんの言葉が妙に腑に落ちたので記事を書いております。
もしもすでにこの本をお持ちの方は是非P.30から読んでみてください。
そう書かれた章に書かれていました。
森川さん曰く
音楽はスポーツと違い誰かと戦うものではなく
一生懸命練習してリスナーが喜んでくれれば
皆がハッピーになれるもの。(一部加筆修正済み)
だそうです。
ライバルに勝つとか負けるとかはどうでもよく
ユーザーはただ“良い音楽が聴きたいだけ”なのだと
書かれていました。
僕はこのチャプターを読んだ時に1年生の冬のことを思い出しました。
忘れもしません。
自信満々で挑んだはじめての冬ライブのオーディション。
当時僕の所属していたサークルはほぼ
実質1年生2年生のみで冬のライブを作っていたので
1年生にも充分に出演のチャンスがあったのですが
僕はなんとそこで落選してしまったのです。
同期が出演の切符を手にしている中
指をしゃぶってステージを見ているのは
この上なく悔しかったです。
今でも当時の悔しさは覚えております。
そんな時に高校時代を吹奏楽に注いだ友人が僕にくれた言葉があります。
その友人は小学校からずっと吹奏楽一筋で頑張って来た人間で
高校時代は全国大会にも顔を出しているような猛者でした。
そんな猛者から見れば僕の音楽なんてぬるぬるのあまあまだったと思います。
それでも友人は敢えて僕にこう言ってくれました。
音楽はスポーツと違う。
ボールがネットを揺らせば点数になる・・・と言うような
明確な基準が一切無いもの。だからどれだけ全力で演奏して
どれだけ満足のいくものが作れても
所詮は審査員の主観で負けてしまう。審査員が首を横に振ったら負け。
それが音楽の世界なんだ。
自分の甘さを痛感した瞬間でした。
言ってしまうと僕は審査が嫌いです。
公平性を保つためには一切の主観を排除して
“できた”か”できなかったか”で演奏を判断しなければ行けません。
しかしながらそれでは純粋に音楽を楽しむと言うよりは
音とにらめっこをしてどれだけ正確に音やリズムをはめたかを判断する
機械的な一種の作業のようなものになってしまい
音楽本来の喜びや楽しさや自己表現はそこには無いと思うのです。
それでも感情論を持ち出してしまうと公平性は保てなくなります。
「楽しい」が何かは万人にとって違います。
「ドミソ」がハモっているかハモっていないかは細かいピッチの判断等を除けば概ね誰が聴いても(審査員を任されるような人が聴けば)同じ結果になります。少なくとも「楽しいか否か」を判断するよりは個人差が出にくいです。
そのせいで常に頭のどこか片隅で
“自分は何のためにオーディションで歌っているのか”考えている自分が居ました。
参考:【アカペラ】人事部のお仕事?人事考課の考え方がアカペラのオーディションに応用出来る!
音楽はスポーツと違い誰かと戦うものではなく
一生懸命練習してリスナーが喜んでくれれば
皆がハッピーになれるもの。
この言葉を聴いた時に「ああそうだったのか」と気付きました。
これはとある小学校にボランティアで歌いに行った時に
その場に居た子供達が描いてくれた似顔絵です。
演奏が終わり控え室に戻ろうと手を振って皆とお別れをしていると
大切な自由帳の1ページを破いて一生懸命描いて
少し照れながらも満面の笑顔で持って来てプレゼントしてくれました。
上手い演奏って言うのはたぶん聴き手にとってみれば
至極どうでも良いものなんだと思います。
ただ上手い方が聴き手に“良い音楽”として届きやすい事は確かです。
そのために少しでも届きやすくなるように上手くなろうと練習をしているのであって
上手くなることそのものが目的ではないと言う事をすっかり忘れていました。
“良い音楽”が何か決めるのは聴いてくれるお客さんであって
そのお客さんに幸せになってもらうために日々練習して
いざお客さんの前で歌った時にお客さんが幸せになってくれれば
歌っている僕等も幸せになれるっていう本当にごくごく当たり前の事を忘れていました。
社会人になり勉強のために読んだ本で
久しく忘れてしまっていた音楽の楽しさに気付かされるとは
思っても居ませんでした。
この似顔絵は一生大事にとっておこうと思います。
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