※この記事はスタジオラグへおこしやす様へ寄稿した記事です。
バンドマンの皆さん。コーラスの練習で困ったことは無いですか?私は大学でアカペラを始めるまでは、ロックバンドでドラムを叩いていたのですが、その際にコーラスを担当することになっても「どんな風に発声したら良いか?」「どんな練習をするべきか?」等、コーラスの歌い方について意識することがありませんでした。
それもそのはず。楽器等の練習方法と比較し、コーラスの練習方法はなかなか明文化されていないです。なので、なかなかそのノウハウも広く伝わっていないように感じます。
本日の記事では、アカペラ演奏を通じて学んだコーラスを歌う際に絶対にやりたい5つの練習を紹介したいと思います。
アカペラでは、歌詞を歌ってハモるハモリを「文字でハモる」を略して「字ハモ」と呼んだりします。その「字ハモ」の質を決めるのがこの「歌詞解釈」になります。メンバー全員で歌詞を解釈し、頭の中に同じ情景を思い浮かべて歌を歌うことで、表現の方向性が統一されます。
このとき、表現の方向性をより洗練されたものにするためにも「形容詞」はより多い方が良いとされています。例えばメジャーコードでハモる際に「明るい」だけではなく「楽しい」や「愉快」と表現することで、朗らかに跳ねるように歌うイメージを共有できますよね。
意外と見落とされがちな歌詞解釈ですが、誰でも簡単に始められる、コスパの良い練習なので是非試してみてください。
こちらはアカペラサークルに入った際に、多くのアカペラサークルで真っ先に先輩から指導される基礎の練習になります。コーラスの練習をする際に、輪になって相手の口の形を観察しながら歌う練習です。
例えば同じ「うー」と言うコーラスでも、「oo(口を”お”の形にして”う”と言う)」と発音するのか「uh(口を”う”の形にして”う”と言う)」と発音するのかでは声の響きが変わってきます。
当然ながら口の形は同じ方がより綺麗にハモります。是非、ハモる際は相手の口の形や動きを観察して、お互いに合わせるようにしてみましょう。
歌詞、メンバーの歌い方、と研究したら次は音の動きを研究してみましょう。一般的に「リードの音と並行して動く字ハモ」は、リードの表現を2倍する効果があると言われています。なので純情なラブソングなんかでは、この並行した字ハモが多く使われています。「好き好き大好き」と言うメッセージの表現に最適です。
逆に、リードの音の動きとは独立して音が動く「字ハモ」では「裏の顔」が表現されていると言われています。なので、リードが「大好きだ今すぐ会いに行きたい」と言う歌詞を歌っている時はその逆、「好きだけど素直に顔を見れない」と言う甘酸っぱい青春を歌っていたりします。
歌詞解釈をした上で、音の動きとにらめっこすることで、自分に求められている表現を的確に掴みましょう。
コーラスを歌う際の「うー」や「あー」等の言葉として意味を持たない音をスキャットと呼びます。これらの音は言葉としては意味が無いのですが、音楽的な視点から見ると沢山の意味を持っています。
例えば、上記した「うー」と「あー」では、音が持つエネルギーが違います。「うー」と歌うよりも「あー」と歌った方が、口が大きく開くので音が開きます。音が開くため、音量が出やすく、結果として「うー」と歌った時よりも「あー」と歌った時の方が盛り上がりが出ます。
作曲者や編曲者はスキャットを巧みに使い分けることで曲を演出しています。是非、音の動きを観察したら次は、意味を持たない歌詞の分析まで行ってみてください。
当たり前の話ですが、コーラスは全体の音の中の1つの音にすぎません。なので、自分が正しいと思う自分の音を歌っていても当然ながらハモらないこともあります。意識的に周りの音を聴いて、周りに合わせて歌うことが出来るコーラスは良いコーラスだなと言う印象を受けます。
そのためには普段の練習にも一工夫必要です。例えば、コーラスの練習をする際に、キーボードで自分の音だけを弾いて音の確認をするのではなく、他のコーラスメンバーの音やリードボーカルの音も一緒に鳴らすようにしてみてください。また、原曲に合わせて歌ってみるのも効果的な練習です。
自分以外の誰かの音が鳴っている状態で、その音を聴きながら歌う練習を日頃より積んでおくと、いざメンバーと合わせようとした際にも、相手の音に寄り添うような素敵なコーラスが出来るかと思います。
いかがでしたでしょうか?コーラスの練習を行う際は、
1.歌詞解釈
2.メンバーの口の動きの観察
3.音の動きの観察
4.スキャットの分析
5.他人の音を聴く
を順にやってみると、今よりももっと素敵なハーモニーが奏でられるようになると思います。
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