僕、実は「僭越ながら」って言葉凄く嫌いなんですよね。
「僭越ながら○○させていただきます」って「じゃあすんなよ!」って思ってしまうのですが、またそれも日本人の良い所なのでしょう。
「常に謙虚であれ!」
どうも!
先日、アカペラシンガーズK.O.E.の新歓ライブのバンドオーディションに審査員として招いていただき、審査をしてきました。どのバンドさんの演奏も素晴らしいもので、オーディションそのものを楽しむ事が出来ました。
是非2015年に慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に入学する方は足をアカペラシンガーズK.O.E.の新歓ライブに運んでみて欲しいです。
その際に「総評」を書かせていただいたのですが、せっかくなのでmokabuu.comの方にも一部を転載したいと思います。
まずは既に楽譜があるケースから見てみましょう。
僕は「楽譜は演劇で言う脚本」だと思っております。例えば「俺いまめっちゃ楽しいわ!」と言う台詞があったとします。この台詞、一見楽しそうな台詞ですがギリギリ卒業を逃した大学4年生が涙ながらにこの台詞を言った場合ってどうでしょうか?凄くネガティブな台詞に急変しますよね(笑)。ではこの台詞がポジティブなものかネガティブなものなのかを決めるのはどこか?それは前後の流れや楽譜(脚本)に隠された背景です。
「なんでそこにその音があるのか?」
「なんでそこはそのスキャットなのか?」
和音が広がっているのか閉じているのか、トップコーラスの動きが大きくなっているか小さくなっているか、字ハモの音の動きは平行なのかそれとも離れたり近づいたりするのか。楽譜には色んなメッセージが隠されています。既存譜を歌う場合は楽譜の意図に意識して表現を詰めて行けると一歩上の演奏が出来るなと思いました。
次に自分で楽譜を作る場合です。
上記したように楽譜にはメッセージが込められています。最近K.O.E.ではオリジナル編曲を歌うバンドが増えていて、「表現する」と言った視点で見た時に、独自の楽譜に独自のメッセージをこめて歌うことは凄く良い事だと思います。なのでメッセージをこめる時のポイントをいつくか紹介したいと思います。
「一番伝えたい歌詞はどこですか?」
「楽譜の一番の盛り上がりどころはどこですか?」
「なんで数あるテクニックの中からそのテクニックを選んだのですか?」
「やりたいことがしっかりと首尾一貫していますか?」
どれだけメッセージを混めていても、それが伝わらなければ意味がありませんよね。特に「一番伝えたい歌詞」はどこで「楽譜の一番の盛り上がりどころ」がどこなのか分からないければ伝わるものも半分になってしまいます。是非楽譜を作成するときは、台本だと思って劇の一番の魅せどころから逆算して考えてみてください。そして6人バンドなら鳴らせる音は最大6個!その制約の中で如何に伝えたいメッセージを表現するか考えてみましょう。
さあ最高の楽譜が出来ました!後は歌うだけです!
しかし残念な事に音楽は意図を喋りません。どれだけ想いを混めて三日三晩徹夜して最高の楽譜を作ってもそれを伝わるように歌えなければせっかくこめたメッセージも伝わらなくなってしまいます。
なので練習の際はもっとお互いを意識してみましょう!それぞれの楽譜や曲の解釈が一致しているバンドさんの演奏は聴いていて安心して心地よく聴く事が出来ました。もちろん歌う行為そのものの練習も大切ですが、歌う際のイメージや曲を通してどのように盛り上げて行くか皆で共通の認識をもつことも大切です。
是非お互いにお互いのパートの動きや意図を汲み取って、その曲に、その楽譜にこめられたメッセージを100%放出出来るように工夫してみてください。
先ほど音楽は意図を喋らないと書きましたが、オーデでは喋らない音楽に変わって意図を伝える絶好の機会が設けられています。数十秒間のMCです。
「誰に何を伝えたいのか」
これをMCでしっかりと伝えられていたバンドさんは強かったです。「誰に何を伝えたいのか」と言うメッセージに加えて、例えば「大きな声で華やかな演奏をします!」なんて一言付け加えると、「あ、このバンドはそういうバンドなんだな」とバンドがどこを見てどこを評価して欲しいのか明確になります。
せっかく喋らない音楽に変わって与えられた数十秒。
決して無駄にしないでください!MCから既に審査は始まっていると言っても過言ではありません。
突然ですが質問です。
「オーディションであなたが歌を届けたい相手はだれですか?」
たぶん100人中93人ぐらいの方は「客席のサークル員」ないしは「審査員」と答えるのではないでしょうか?「まだ見ぬ15」と答えたあなたはかなりのイケメンです。さて、イケメンはひとまず除外して考えます。あなたが伝えたい相手が聴く音を意識しましょう。
マイク練の際に誰もメインスピーカーから出ている音を確認していないバンドが少し多過ぎたように感じました。返しの音を聴くのはバンドメンバーだけですよね。返しの音も勿論大切なのですが、それ以上に大切なのはメインスピーカーから出るお客さん(客席にいる審査する人)が聴く音なのではないでしょうか?
K.O.E.のPA班はいつも返しとメインの音が同じになるように作ってくれていますが、万が一と言う事もあります。しっかりと、マイクを通ってスピーカーから出ている音に意識を向けてみてください。
僕自身、オーディションの審査員は1年ぶり。
K.O.E.のバンドを審査するのは実に2年半ぶりだったので凄く緊張していたのですが、サークルの成長を垣間みる事が出来、凄く嬉しかったです。
そして嬉しかっただけでなく、どのバンドもしっかりと和音が鳴っていて、ステージングや衣装も練られていて純粋にオーディションそのものを楽しめました。
「2015年春」から「SFC」に入学する皆さん。
是非アカペラシンガーズK.O.E.へ足を運んでみてください。間違いなくすんげえライブが待ってますよ!
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