メロスは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。
メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
この時のメロスってどんな表情だったのでしょうか?
ここを朗読するときは、どのように読めば良いでしょうか?
きっと答えはたくさんあります。
物語の解釈は読み手に委ねられているからです。
でもこのシーンを「メロスはこれから走り出すんだから楽しく軽やかに読み上げよう!」って解釈する人っていますか?
原則、アカペラの演奏も国語と同じです。
作譜者により、歌い手に表現が委ねられている範囲で表現をしていくことになります。
中には明らかに場違いな表現もあります。
(ex)お通夜のようなChili Con Carne/The Real Group
仮に以下のような設定でChili Con Carneを歌うとしましょう。
大好きだったひいおばあちゃんとの思い出の料理〜Chili Con Carne〜
小さい頃はいつもひいおばあちゃんと一緒。
ひいおばあちゃんの料理が好きで、夕方になると一緒に夕食を作っていた。
そんなひいおばあちゃんと僕が大好きだったChili Con Carne。
今日はひいおばあちゃんのお通夜。
あんなに大好きだったのに。
高校生になって家に帰らなくなって…。ひいおばんちゃん。
ごめんなさい。楽しい時間は2度と戻らない…。
一筋の涙が僕の頬を流れた。
とんでも無い表現ですが、まあ良しとしましょう。
この表現を100%否定すべきかと問われたら僕は答えは「No」だと思っています。
つまり
お通夜のような演奏でも良い
と思うのです。
でのその場合は「The Real Group」のアレンジは不適なので、あなたの表現に合わせて楽譜は変えるべきですが。
僕は音楽は自己表現の手段だと思っているので、どんな演奏をしてもそれは個人の自由だと思っています。
ただし誰かの曲や楽譜を歌う際は、
- すでに作曲者や作詞者の思いがこめられている
- すでに編曲者の表現が入っている
ことを忘れずに「すでに曲や楽譜がもっている表現と喧嘩しないように」気をつけられると良いと思います!
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