皆さん今流行の「ロジカルシンキング」ってご存知ですか?就職活動の際によく耳にするアレですね!ちなみに外資系企業やコンサル業界/コンサル職を志している人にとって割けては通れないのがこのロジカルシンキングです。
ただ論理/理論と言うと「感情や感覚を排した頭の固い人の戯言」と勘違いされてしまうケースも少なくありません。そこで、「論理とは何か?」から「論理を議論に用いる際の注意点」や「論理的な説明の強み弱み」を紹介する記事を書いてみたいと思います。
まずはここからはじめます。
「論理 = 決められた仕組みやルール」だと勘違いしている人も多いのではないでしょうか?実はこの「論理 = ルール」という解答は50点なんです。論理とは起こった事象を統計的に分析したものでしかないので、音楽における論理とは、実は万人に共通する感覚をまとめたものにすぎません。絶対従うべき法律ではないです。
和声法などがその例です。和声は音楽をする上で絶対に学んでおくべき音楽のルールですが、ポップスやジャズは和声法に乗っていません。もしも本当に論理的に導かれた理論が絶対的な法律ならば、ジャズやポップスは音楽としてルール違反になってしまいます。しかし世の中、(一部の人を除いて)ジャズやポップスを和声の視点から悪く言う人って居ないですよね!
論理的に導かれた理論を持ち出すと嫌な顔をする人っていますが、そんな理論も感覚的に導かれた音を統計的に分析して導き出した一個のルールでしかないのです。凄く簡単な言い方をすると
理論とは「私はこう思う!」から始まった万人に共通する感覚
でしかないのです。
(例)ドミナントからトニックに移行すると安心すると思う!
-> 1000人に聴いたところ1000人が安心すると言った!
-> トニックに和音が戻った時は人は安心する(理論誕生)!
だってアフリカ奥地の部族の間に明文化された音楽理論なんて無いでしょう。それでも皆が気持ちいいと思っているから同じような部族の構成員はだれが音を奏でても同じような音楽を奏でているし、専門家に分析させた際に法則性が発見されて音楽理論に仲間入りするのです。
先述したように、論理的思考は感情の集合体を統計的に分析するものでしかありません。なので当然ベースにあるのは個々人の感覚です。それを論理的思考によってわかりやすくまとめたのが理論なのです。しかしこの論理的思考って本来物凄く難しいものです。少しでも勘違いした状態で使ってしまうと、導き出される答え(=理論)が見当違いのものになってしまいます。
論理的思考を行う際によくあるミスが以下の3つになります。
- 事実誤認
- 情報不足
- 論理飛躍
それぞれ以下のような場合に見られるミスです。
- 事実誤認
hydeは47歳、yoshikiは51歳、デーモン小暮閣下は100030歳
⇒ バンドマンは100030歳まで生きられる(デーモン小暮は正しくは54歳だ!) - 情報不足
tomは外国人、aviは外国人、tim foustは外国人
⇒ アカペラのベーシストはみんな外国人(僕は青木さん好きだぞ?) - 論理飛躍
elkinsは男、castellucciは男、layneは男、jacobsonは男、tonyは男
⇒ プロアカペラ奏者はみんな男(確かにVoicePlayはみんな男だが!)
この3つを避けるためには情報量と仮説検証が命です。
上記は極端な例なので「さすがにこんなん大丈夫でしょ〜」と思うかもしれませんが、、、。
- 事実誤認
C9はテンション、Cadd9はテンション
⇒ Cの和音にDが入るとテンションになる - 情報不足
ひとりの最後の和音はD、誓いの最後の和音はG
⇒ 曲の最後の和音でぶつけ和音は使えない - 論理飛躍
心をつないでは7thコードを使っている、夢紀行は7thコードを使っている
⇒ アカペラの楽譜には必ず7thコードが登場する
論理的思考には当然強みと弱みがあります。
▼強み
先輩「ここはピッチ高く歌ったほうがしっくりくるなと思って!」
後輩(いや!それお前だけじゃね?)
説得力ゼロです。
しかし、しっかりと論理的に統計立てていると、、、
後輩「先輩!サビずっとピッチ高くないですか?」
先輩「そうなんだよ!楽しさや嬉しさ表現したくって!」
後輩「なるほど!ちなみになんでそうすると楽しさや嬉しさ表現出来るんですか?」
先輩「和音が明るく聴こえるからだよ!ほら!あんな曲とかこんな曲もそうなってるじゃん?」
後輩(確かに!言われてみればそうかも知れないな!)
「そう思うから」ってあくまでも個人の感覚で万人に共通したものではありません。どう表現するか問われたら「これを表現すべきだと思うから」で良いですが、その表現をするためにどんな手段を用いたかは、自分が参考にした音源等をいくつか列挙することが出来ますよね!
「論理的にこれを表現すべきだから(表現は人の感情に依存しているのにそこに規則性なんてあるのか・・・)」や「感覚的にこの奏法をすべきだから(その奏法でそういう感覚になるのはお前だけだぞ・・・)」は筋が通りませんが、「感覚的にこれを表現したいから(うーん!リードは楽しく表現したのか!)」や「その表現をするならこういう手段があってこういう事例があってこうすべきだと思うから(確かにピッチを高めに歌うと明るく聴こえるな!)」と説明する事で、なんだか説得力がプラスされます。
▼弱み
後輩「先輩!サビずっとピッチ高くないですか?」
先輩「そうなんだよ!楽しさや嬉しさ表現したくって!」
後輩「なるほど!ちなみになんでそうすると楽しさや嬉しさ表現出来るんですか?」
先輩「和音が明るく聴こえるからだよ!ほら!あんな曲とかこんな曲もそうなってるじゃん?」
後輩「でも、○○さんの××って曲はピッチが暗めだけど楽しそうに聴こえますよ?△△さんの◇◇って曲も!」
ロジック破綻というやつですね!
これは前の章で書いた「情報不足」によって理論が崩れるパターンです。ちなみに先輩が提示した曲のピッチが高く無かった場合は「事実誤認」になります。そして先輩が提示した曲でサビの最後のロングトーンだけがピッチ明るめで、他の部分はそうでも無かった場合は「論理飛躍」になります。論理的思考ってかなり難しいもので、理論的に説明できたと思っても、ロジックなんて一瞬で破綻してしまうものなのです・・・。
先述したように理論って直に破綻するものです。
なので論理的にこうだからは使えないです。何故その論理がなりたつのか、何故そのルールができたのか考えないと、ルールや論理自体には本質は何も無いのです。ただし、ルールは最低限万人に共通する(と思われている)ものなので、そのルールを破るからにはそれなりの理由が必要です。その理由を探す過程で、ロジックを破綻させるために例外を探したり、そもそも本当にその論理が成り立つのか仮説検証を行うことになるので、相手に論理的に説明しようとすると自分が勉強する機会になります。
特に、例外を探すために
①論理が通るパターンの曲を聴いて(論理の検証)
②逆に通らないパターンの曲を探す(論破)
を行う過程でもの凄く色んな音楽に触れ合うことになるのでオススメです。
その中で、あなただけの「マイ理論」が見つかるかもしれません。そしたら今度はその理論を隣人にぶつけることで、隣人はその理論を覆すために論破の材料を探す事になります。論破されればあなたは「マイ理論」により磨きをかける必要が出てくるわけです。これを繰り返すと、見えていなかった音楽の仕組みが見えて来て非常に楽しいのでオススメです。
ちなみに僕は下記の番組に魅せられて以来、音楽をめちゃくちゃ論理的に分析するのが好きになりました。
美しいものには必ず理由があります。
美しくないものにも必ず理由があります。
最終的に行き着く先は、一時の感情やひらめき、ひいてはその人が生まれ持つセンスに依存した感覚によって導き出された音ですが、引き出しを増やして自分や好きなアーティストの音楽を客観的に眺める上で理論立てて思考してみるのは非常に面白い手段の1つだと思います。
※念押ししますが、理論は非常に弱いものです。これはこういうルールだからと考えるのではなく、そのルールは何故できたのか、なぜそのルールが成り立つのか、考えるようにしましょう。
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