昨日後輩に頼まれて、僭越ながら後輩の練習を見て来た。
彼は昨年うちのサークルに入ってくれた子で、大きな体から重いベース音をしっかりと出せる子である。そんな彼、めちゃくちゃ可愛い後輩であり僕や僕とリズム隊を組んでいる愛明と言う男をとても慕ってくれている。
今までも定期的に彼と練習をしたりしていたのだが、今回は彼がオフ日との事だったので4時間とってみっちりと練習をしてきた。その際に彼に伝えたかった事を敢えてこのブログでも書き留めておきたいと思う。
「考えて歌う。」
過去の記事(❶や❷)でも書いているように、僕は歌う際に「考える」と言う事を非常に大切にしている。
その際に、後輩からアドバイスを求められた際にほいほいと答えだけを後輩に教えてしまうのはあまりに不親切なのではないかな?と思う。「答え」を教える事で後輩から「選択肢」を奪い、結果として「考える機会」もっと言うと彼・彼女自身の「表現をする機会」を奪ってしまっているのでは無いかと思う。
例えば明らかに16ビートを刻めばハマるフレーズがあったとする。
しかし後輩A君は8ビートを打ってしまいフレーズにハマらなくって悩んでいた。その時に「これは16ビートだよ!」って言ってしまうのはあまりに不親切なのではないのかな?と僕は思うのだ。
応用がきかなくなってしまう。
何故それが16ビートだったのか分からなければいずれまた同じ悩みを抱える事になる。しかしその時にリズムの探り方のアプローチを一緒に体感していれば、次に複合拍子が来ようがボサノバが来ようが自分でリズムを探す事ができる。
今日は後輩と一緒に真っ赤な太陽について考えて来た。
こちらが与えられたメロディー。
これを後輩2人と3時間かけて歌い込んで来た。もちろん僕が思う答えは教えずに、後輩自身に考えてもらった。
初めに冒頭で紹介したベースボーカルの後輩とマンツーで取り組んでいたのだが、彼は流石に先輩に日頃からフィードバックを求めているだけありリズムへの意識がはじめからしっかりとしていた。
正直僕が2年生の春にあそこまでリズムについて考えられていたかと言うと出来なかったと思う。僕は純粋に彼を尊敬している。
彼は1拍目をかなり意識しており、「強拍」と言う言葉をしきりに口にしていた。しかし、その「強拍」と言う言葉を知っているがためにその「強拍」が時に彼の足を引っ張ってしまう事もある。
単に「強拍」を置くだけならば以下のような楽譜でも良いのだ。
ずっとソでステイしている。
別にこれでも強拍の表現をするだけならばことは足りてしまうように感じる。
そこで彼に上記の楽譜を見せ、「強拍だけならこれでいーじゃん!」と言ったところ彼はうなり声を上げながらも考えてくれた。
そして長考の末に、「音程が動く事で音程が高ぶった時に高揚感が出る」「音程があがったときに軽くなるから流れがうまれる」等と言った発想に至った。
わかるだろうか。
普段なんとなく歌っている楽譜にも意味があるのだ。ゴスペラーズが本当に上記のような理由で音程を動かしているのかなんて、僕はゴスペラーズのメンバーではないので真意はわからない。それでも考えたら「理由」は見つかるのだ。
そうしたら今度はベースに真っ赤な太陽をこういう風に歌いたい!と言うビジョンが芽生たので、協力者としてパーカッションの後輩に来てもらう事にした。
「言語によるコミュニケーションは禁止。お互いにお互いの理想としている真っ赤な太陽ができるまで永遠とメロをセッションする。」
このテーマで2人には取り組んでもらった。
言葉で話すのは「今のは自分の理想の何%だったのか。」と「相手のどこを聴いてどこに合わせていたか。」の2つだけ。
2人ともK.O.E.が誇るリズム隊。
2人が組んでいるバンドは無いにも関わらず、数回合わせるとメロの前半部分はお互いのやりたい事がわかったのかだんだんと息があってきた。そんな彼らに今回残された宿題はこちら。
ここの一瞬ベースが刻みを変える場所の意義。
そしてその意義を満たす為にはパーカッションはどのようなアプローチをしたら良いのか?
※余裕があったら直前のレ♭(コードに無い音)の意義なども考えられるとより良いと思う。
と、言うところである。
さて。
僕が思う正解はあるのだが、彼らがどんな事を考えてどんなアプローチをしてくるのかがちょっと今から楽しみである。
と言う記事でも書いたのだが、“後輩から教わること”と言うのは非常に多い。
先述したように、僕も「強拍等の概念に捕われている」場合もある。そういった先入観がない後輩の方が良い気付きやアプローチをするケースも多いように感じる。
それに自身もそうだったが、悩めば悩む程一生懸命考えてアプローチをしてくる。
その思考の過程で絶対に彼らなりの考えがあり、それを一緒に語る事程楽しい事は無いと僕は思う。
後輩にも彼らの事情がある。
次はいつ一緒に練習できるかわからないが、その時に彼らがどんな答えを出してくるのか今から楽しみである。
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