これはIT業界に務める人にはおなじみのプログラミング用語です。
Keep It Simple, Stupid!!
簡素に書け愚か者め!
の略で、「プログラムを書くときは簡素にわかりやすく書こうね!」って意味の略語です。
それでK.I.S.S.を実践する上での注意点が3つ程あるのですが、それが編曲にも言える事だったので今日は編曲に置けるK.I.S.S.を紹介したいなと思います。
これはよくあるのではないかと思います。
例えば7thコードをつかって「音をぶつけると言う技術」を覚えると、やたら7thコードを使いたくなったりしますよね?ただし、これって編曲者の自己満足でしかありません。その7thコードが本当に必要ならば問題ないのですが、7thコードを使いたいがために、どこもかしこも7thコードまみれにしてしまうのは当然NGです。
新しく覚えたての技術を直にでも使いたい気持ちはわかりますが、技術は使うべきところで使うように心がけましょう。
「将来音をぶつける予定だけれども、今の段階ではその技術がないからオクターブでハモる」
こういう楽譜書く人いないですか?
別に自分たちのレベルに合わせて楽譜を書く事自体否定はしませんが(賛否両論あると思いますし勿論持論もありますが)、そういうのは将来楽譜を書き直すようにしましょう。間違っても1段に音符を複数個かいたり、ぶつける音で楽譜を書いて「要注意!無理だったら半音下を歌って!」とかコメントを書くようなことはしないようにしましょう。楽譜の作成段階で、「将来こうするから」っていうのは僕は特に意識しなくて良いと思っています。
と、言うよりも楽譜に将来入れる予定の表現まで書き込んでしまうと、結局その段階での完成図が見えなくなってしまい、楽譜の表現もガタガタになってしまいます。楽譜って演奏の設計図のようなものです。それを渡された奏者が編曲者の指導がなくても、完成図をイメージして歌えるように書きましょう。
多く目にするのは2種類の改悪です。
- 本来アレンジに必要の無いメロディーを入れる
- 本来練習でカバーすべきところを楽譜でカバーする
例えば既存のアコースティックの曲をアカペラアレンジする際に、曲の尺や特性を加味した上でメロをカットしたり、楽器のソロをカットするのはよくある表現手法だと思います。そういった表現手法を用いる際に、自分たちが表現したいアレンジには必要の無い間奏を”無理矢理入れたり”、間奏を入れるだけならまだしも本人以外理解不能なメロディーをジェネレートするのは、あまり良いアレンジとは言えません。アレンジをする際は一貫性を意識して、曲を1個のストーリーに見立てた際に表現上必要なメロディーを入れるようにしましょう。
また、メンバーの能力に応じたアレンジを行うのは大切ですが、本来練習でカバーすべきことを練習でカバーせずに楽譜でカバーするのも間違っています。例えば「リードの○○ちゃんが最高音でないから最高音の部分は全部フェイクにしています」とか「音がとれないのでユニゾンにしました」とかは最悪です。音域は練習しなければ伸びませんし、ハモりだって練習しなければハモれるようにはなりません。「練習した結果出来なかったのでとりあえずライブ本番だけこうします」はまだ”仕方が無い”のですが、最初から練習することを放棄した楽譜をつくってしまうのは違います。
美しい楽譜って凄くシンプルに作られている事が多いです。
少なくとも、表現の方向性が定まっており、1曲を通してどこで盛り上がるべき出どこを抑えるべきなのか楽譜を手に取って読んだだけでわかるように作られています。そこに、
- 新しく覚えたての技術をてんこもり
⇒後から見たり他人が見たりした時に何がやりたかったのかわからなくなる!楽譜から一貫性が無くなってしまう! - 将来のためにあれこれ中途半端に盛り込む
⇒完成図が見えなくなる!楽譜から正しい情報をとれなくなってしまう! - 余計な事をする
⇒練習の方向性がズレるのでバンドや個人の上達を妨げてしまう!表現上何をやりたかったのかわからなくなってしまう!
のは控えると良いのではないでしょうか?
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