以前バンドクリニックをしている際にこんなことがありました。
僕:なんでその曲を無声パーカスで演奏しているの?
G:有声打てないからです。
僕:なんで出来る事しかやんないの?
G:・・・。
僕:じゃあわかった!この曲をどうやって演奏したい?
G:原曲みたいに賑やかな感じで。
僕:じゃあ無声でその有声ならではのガチャガチャ感でるの?
その後、彼は鬼のような練習によりめちゃんこ有声パーカスが上手くなったのですが、僕はいつも思うのです。
「やりたいことベース」ではなく「出来る事ベース」で演奏を組み立てて行ってしまうと本当にろくなことになりません。もっと言うと「出来る事ベース」で楽譜を作ってしまうとまともな楽譜が出来る余地って無いのではないかなと思います。そこで今日は僕なりの楽譜を作るときのスピリットについて書きたいなと思います。
楽譜を作るときはまずは「何を表現したいのか」「何を伝えたいのか」「何がしたいのか」考えてみてください。
これが出来ていないと本当につまらない演奏になります。曲や演奏に想いがこもっていないmidiのような演奏になってしまうのです。「上手いんだけど響かない」とか「聴いていて心にぐっと来ない」とか、そういう評価を受けているバンドさんや奏者さんに多いケースです。そもそも「歌う歌が好きじゃない」とか「歌うことで表現したい思いが弱い」と言うケースですね!
好きじゃない歌は歌うのやめてしまいなさい!
その上で
好きな歌の魅力を余すところ無く伝える術
を考えましょう。オリジナルの場合は「自分が伝えたい想いを余すところなく伝える術」を考えましょう!
まずは理想を考えるのです。
自分やバンドに出来るとか出来ないとか、自分達の都合はメッセージを受け取る人には関係ないのです。仮にメッセージを伝える上でどうしても最高音の「hiA」が必要なのであれば、「hiA」を回避する方法を考えるのではなく「どうやったらhiAが出るか」考えるべきです。
ただ練習してもどうしても出来ないことだってあります。
その段階で代替策を考えましょう。
出来る事に合わせて音楽を作らず、やりたい事に合わせて音楽を作って、どうしても無理なら一部だけ代替策を考えるのです。
例えば「ベースの最低音をlowD(低いレ)にしたいけどlowDはでない」のであれば、
- 本番の演奏中だけでも声を低くする方法を考えても良い(ウイスキーや日本酒を呑んでみる等)ですし、
- レっぽい音を出して誤摩化すのも手(喉ベースとか喉をしめるとか)ですし、
- オクターブ上げても栄えるような音形に変える(そもそもコーラスの作りから変えてしまうのもアリ)こと
を検討するのもありです。
最初から出来る事ベースで考えてしまうと、表現の幅を狭めてしまいますし、最悪のケースだと「何を表現したいのか奏者自身もわからない」なんて状況に陥ってしまいます。
人前で歌うからには何か伝えたい想いやメッセージがあるはずです。
歌を歌うからには何か歌にこめる想いだってあるはずです。別に「この歌が好きだから歌いたい!」でも良いのです。そしたら「“この歌”の好きなところ」をお客さんに余すところ無く伝える事が出来るように歌えば良いのです。
どんな歌でも歌いたいからにはそれ相応の理由があるはずです。アレンジや作曲を行う際は、まずは「想い」を楽譜におこすところからはじめて見てください。
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