【アカペラ】楽譜は綺麗に書きましょう!綺麗に書けない人は・・・だ!


once up on a time…
その日はよく晴れた日だった。
僕はずっとバンドで歌いたかった曲の編曲を終え、6人分の楽譜を印刷しスキップをしながらバンド練に向かっていた。ずっとアカペラで歌ってみたかった大好きな曲。はやる気持ちを抑えきれずに途中でトリプルアクセルなんかもしちゃったりしながらバンド練へ向かった。

吹けない口笛を吹きながら部室に入ると既にメンバーが4人ほど集まって音とりを始めていた。

「あ!mokabuu!楽譜ありがとう!」

「これめっちゃいいよ!楽しみだな!」

「早く歌いたいね!」

こんな風に言ってもらえると自分も嬉しいものである。
作った甲斐があったと言うものだ。

「いえいえ!こちらこそ!歌ってくれてありがとう!」

まずは一言お礼を言う。
歌ってくれる仲間に感謝☆
アレンジャーとしての嗜みである。
そのうえで

「皆の分刷って来たよ!」

と言って順番に楽譜を配って行った。
そして楽譜を配っている間に最後の1人。
このバンドの絶対的エースである友人Aがやって来た。

「おつかれーっす!」

まだ4月だと言うのにアロハシャツを羽織った季節オフサイド気味の色黒のその男は意気揚々とヘッドフォンで音楽を聴きながら部室に飛び込んで来た。漏れてくる音から察する限りなんとノリノリで聴いていたのはmidiだったようだ。どこまでも律儀な男である。

「お?楽譜?気がきくじゃーん♪あざっす!あざっす!」

そんなこんなで関心していると彼は僕の手から有無を言わさずに楽譜を奪いとった。

「・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・。」

一瞬彼が黙り込んだのが最後。
ここからが地獄だった。



ゔぉおおおおおおい!
「ゔぉおおおおおおおおい!」
「おいてめぇ!mokabuu!」
「お前なんだよこの楽譜はよぉ!!!!!」

物凄い剣幕で彼が僕に迫って来た。
気がつくと彼はアロハシャツを脱ぎ捨てタンクトップ1枚になり完全にヒートアップしていた。

スクリーンショット 2015-07-08 1.14.37

「これはどういうことだよ!!!」
「お前歌ってもらう気あんのかよ!!!」

どうやら彼は2拍目と3拍目の間を符点四分音符がまたいでいるのが気に喰わなかったらしい。確かに正しく記譜をするならばこのように記すべきだった。

スクリーンショット 2015-07-08 1.14.53

「どういうことだよ!なんか言ってみろよ!」

ダメだった。
既に彼は”ON”だった。
しばらくおさまりそうも無い。
楽譜を書いたのは他でもない僕だ。
彼の怒りに付き合う事にした。
遠くでコーラスの歌声が聴こえた。


面倒くさかったから
「いや!わりぃ!実際midiで再生すれば同じじゃん?」
「符点四分で打った方が楽だしさ!」
「ほら!打ち直すのがめんどうくさくってさ!」

「め・ん・ど・う・く・さ・い?」
「What’s?」

一瞬で目の前が真っ白になった。
どうやら彼の拳をもろに受けたらしい。
気がつくと地面の味を噛み締めていた。
痛みをこらえながら地に押した体を持ち上げる。
一発殴り返してやろう。
そう心に決め視線をあげるとAは泣いていた。

「お前!面倒くさがって作ったもの人に歌わせんのかよ!」
「お前にとってこのバンドってその程度だったのかよ!」
「ゔおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

色々突っ込みどころは多いけれども彼の言う事はもっともだ。
確かに人の手に渡るものなのに”めんどうくさいから”という理由で記譜を適当に行ってしまったことは良く無かったのかも知れない。


出来るけれどやっていない
「お前よお。グスン。」
「お前ならよお。グスン。」
「これぐらい知ってんだろ・・・?」
「2拍目と3拍目またいじゃいけないことぐらい知ってるよな?グスン」

「俺はさあ…。」
「お前がそうやって損してるのが悲しいんだよ。」
「知ってるからこそさあ。ズビズビ。」
「私適当に作ったもの人に歌わせてますって宣言されてるように感じて。グスン。」
「お前そんなやつじゃないのに…。」

どこまでも熱い男である。
他人が作った楽譜を見てここまで泣きながら熱くアカペラーとしての在り方を語る男が他にいるだろうか。
いやいないだろう。彼は僕が適当に記譜をすることで僕が自ら自分の印象を下げている事を純粋に悔しがり涙しているのだ。

シンジラレナイ・・・。


間違った楽譜を作る
かれこれ30分が経過した。
コーラスが1サビの細かい縦を合わせ始めた。
随分と和音の精度が上がって来ている。
目の前の男の目は大きく腫れ上がっていた。

「俺はさ…。ズズズ。」
「思うんだよな…。ズズズ。」
「間違った楽譜ってさ。ズビズバ。」
「私音楽出来ませんってアピールするためのものだなって。グスン。」

再度泣き始めてしまった。
こうなるともう僕の手には負えない。

「お前の事を知らない奴がこんな楽譜を見たらそいつは間違いなくお前が音楽出来ないやつだと勘違いするよ。すっちゃかめっちゃかな英語で書かれた卒業論文が後生残ってしまうようなもんだよ。」

「俺は俺の永遠のライバルであるお前がそんな風に見られるのが辛くて仕方ないよ…。」

「なんでこんな楽譜書いたんだよ・・・。なあ・・・。」

まるで万引きをして捕まってしまった息子に涙する熱い親父のように彼は泣き続けた。

彼の目はまっ赤だった。
確かに僕が悪かった。
手間を惜しんでしまった。
面倒くさいと思ってしまった。
記譜の1つぐらいいいだろと思ってしまった。
彼の話を聴いていて自分がしてしまったことが恥ずかしくなって来た。
布団があったら眠りたい気持ちになった。

「ごめんな・・・。」

ボソっと僕の口からこぼれた。
次の瞬間全身が熱くなった。
目の前が真っ暗になる。
息苦しい。

「mokabuuuuuuuuu!!!!!!!!!!」

どうやら彼に歓喜の抱擁をかまされているようだ。
息が出来ない。全身から嫌な汗が噴き出す。
だんだん意識が遠のき目の前が真っ暗になっていった。


まとめ
と、言う妄想をしました。
終電が無かったのでとぼとぼと3駅ぐらい歩いたのですが
iPodの電池も切れてしまい携帯電話の電池もなくなり。

まあ妄想のはかどることはかどること。
そんな妄想をしながら帰宅して寝たらまあ夢にでますよね。

かなりグレーな夢ですが
A君は実際にはこんな人物ではありませんしフィクションです。
僕は怪しい趣味をもった人間でもありません。

ただし

間違った楽譜 = 私音楽が出来ないですと言っているようなもの

記譜はわかるけどやっていない楽譜 = 私は適当に作ったものを人に歌わせていますと行っているようなもの

正しく記譜をするのが面倒くさいからしなかった楽譜 = 面倒くさがってつくったものを人に歌わせています宣言

の3行だけはちょっと考えてみていただけたら幸いです。

僕の人生の目標の1つはこの世から記譜がすっちゃかめっちゃかな楽譜を廃絶することです。


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